第5話 瑠璃ちゃんの高円寺散歩
友達になれそうな同級生を見つけた後は、高円寺をお散歩してみることにした。
高円寺って今までは商店街とか飲み屋がいっぱいあるイメージで、私にとっては楽しいと思えるところがなかったからすぐに帰っていたんだよね。
まあ葵依さんと会うときは帰ろうとしているときに偶然会ったりとかしてるんだけど。私、葵依さんの連絡先何も知らないし、葵依さんは教えてくれないんだよね。本当になんでなのかな、聞いても来ないし。葵依さんって不思議な人。
高円寺を歩いていると、静かな雰囲気が流れていて飲み屋がいっぱいというよりか住宅がいっぱい。まあ住宅街ではないんだろうけどさ。あとおしゃれな喫茶店とか古着屋さんがいっぱいあるのは凄いなあって本当に思う。まあさっきから『古着買わねえか、そこの姉ちゃん』とか言ってる外国人のお兄さんがなぜかいるけど……。
何よ、そこの姉ちゃんって。なんか昔のドラマに出てくるお兄さんがお姉さんを車に乗せたいときの誘い文句みたいじゃない?そんなことないか。
まあ古着買わねえかと言ってくるお兄さんは無視して、歩いていると私が好きそうな落ち着いている雰囲気の喫茶店を見つけた。
中に入ってみると、自分の好みとドンピシャだった。そんな私は席に着くなり、おっきいプリンアラモードを頼んだ。プリンアラモードは昔から大好きで、コンビニやスーパーに行ったときにお金があればいつも買っていた。
辛いことがたくさんあったけど、そんなときに食べていた思い出の味。
そういえば葵依さんと出会ったときとかお友達になった時にも買って食べた。
「おまたせいたしました、プリンアラモードです」
「ありがとうございます」
色々なことを考えているとプリンアラモードがやってきた。私が笑顔で返事を返すと持ってきてくれた女性の店員さんは笑顔で返してくれた。
店内にはジャズ音楽が流れていて、それを聞くたびに私の周囲の時間が止まったような感覚がした。
やはりプリンアラモードはおいしい、食レポなんて有名人でもないからしないけど。
別に将来芸能人になりたいとかの夢もないから、やる必要なんてないよ。
芸能人って大変そうだよね、芝居も歌もダンスもちゃんと出来なきゃいけないって聞くしさ。それに道も道だもんなあ。
それにしてもさっきの店員さん、葵依さんに似ているなあ。髪型がポニーテールだからかな。本当に私の悪い癖なんだけど、ポニーテールの女性がすべてどこか知っている人に似ているって思っちゃう。
「ごちそうさまでした」
「おいしく食べてくれてありがとう、お礼に飴ちゃんでもあげるよ」
「ありがとうございます」
なんか食べ終わったら食べ終わったで大阪のおばちゃん風に飴玉をもらってしまった。なんだろうな、この大阪観光に来た気持ちは。まあ大阪行ったことないけどね。
気分も少し良くなったので外に出てみると、夕焼けが足元にいた。周囲には誰もいないそんな高円寺も悪くないなんて思う私がいた。
そんな私は今から帰ることにしようかと思いながら、高円寺の駅へ向かう。
帰りはもう誰もそこにはいなくて静かで、古着いらねえかというおじさんもいない高円寺。駅について、私は「また学校の日に」と呟いて総武線に乗り込んで千葉へ帰ることにした。
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