死んでもいいわ

そんなことはない。


そんなことはない。



君と過ごしたこの街を旅立とうとしている今。


いつもの様に満月が夜に色を与えていた。



どうでもよかった。


どうでもよくなかった。



生きるなんて難しいこと向いていなかったのだ。





ある日の夜。


眠れないと泣いていた彼女を連れて世界でニ人だけの散歩をしていた。


「どう?落ち着いた」


「うん、少しだけ」



彼女は続けて言った


「でもやっぱり少し苦しいんだ」



彼女の負の感情を僕が吸収できることは出来るのだろうか。


今の僕はまだ君を慰めることしかできない。


「ほら、月もこんなに綺麗だよ。次の満月も一緒に見ようよ」



頷いた彼女の無理やり笑った様な笑顔に少し安心した僕が馬鹿だったのだ。



彼女は死んだ。

次の満月を見ることはなく。



僕が慰めるのが下手だったから。そもそも僕も生きるのが下手くそなんだ。


お金でも自信でもなんでもいいから何か一つでももっていれば君を守ると胸を張って言えていたのかもしれない。







僕のせいで彼女が死んだ、いや、そんなことはない。


どうでもいいと思えるほどに彼女を忘れてしまいたい。



いや、やっぱり忘れたくない。


相反する気持ちがずっと反復する。



僕が死ぬまで彼女の真意に気付くことはできず、ずっと暗闇を歩いている様な人生を歩んだ。




「わたし_______」

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