君は都会に飲まれた。私は息ができなかった。
- ★★★ Excellent!!!
綺麗とは何か、汚いとは何か。
この作品は、そんな曖昧な境界線を、容赦なく突きつけてきます。
都会に染まっていった「君」が、汚く見えた。
でも、本当に汚れていたのは誰だったのか
読み進めるうちに、気づかされるのは「私」の視線の冷たさと、その奥にある愛しさでした。
ネズミが美しく見え、あの小さな生き物に「命の輝き」を見出す感性は、
まさに「私」が最後まで手放さなかった人間らしさそのものだったと思います。
夜景も星空も、確かに綺麗だった。
けれどその「綺麗」の中に、君はもういなかった
そんな喪失と寂しさが、読後もずっと心に残っています。
自分もまた、何かを失いながら「綺麗なもの」に憧れていないか。
この物語は、そんな問いを静かに突きつけてきました。