第3話 秒で告白された。
王宮西方学園。
この学園は前世の家に近しい場所に建てられた、比較的新しい学園なんだって。
一応今世でも転校などで訪れたことがある。まぁ、ものの数週間だけどね。
話を戻してこの学園。見た目に反して一般人でも通えるような制度が整っているようで、全国各地から才能がある学生たちがやってくるそうな……。
と、このように学園長は歩いている間にも学園の案内を行いながら詳しくこの学園の歴史やマナーなどを教えてくれた。
ある程度の説明を受け、遂に学園長が一年A組の前で歩みを止めた。
「……さて、長らく歩き続けましたがこの場所こそ、貴方が一年間通い続けるクラス。一年A組です」
「ここが……」
「今、A組はホームルームをしている最中ですので、私が先に入り貴方の到着を担任の小林先生にお知らせしてきますね」
学園長はそう言い、ドアをノックしながら中に入っていく。
数分間待っていると、学園長がゆっくりと扉を開いて廊下に出てくる。
「それでは、先生の合図があり次第、教室に入って自己紹介をしてください。……というわけで私からの案内は以上となります。楽しい学園生活を過ごしてくださいね」
学園長はにっこりと笑みを浮かべ、教室を後にした。
◇◇◇
「今日はこのクラスに転校生が来てくれました!! あ、
ドアの向こう側から先生が合図を出してくる。早速だがクラスに入ろうと思う。
あたしは教室の扉を勢いよく開き、教室全体を見渡しながら教卓まで足を進める。
周りでは「おぉ!」などと、男女問わず歓声の声を上げている。クラスの人達はあたしの天才的な美貌に釘付けみたいだね。
では、「運が良ければ付き合える」などと考えているめんどくさいクラスメイトのみなさんにあたしの
あたしは教卓に両手をつけて口を開く。
「先ほど紹介に預かった一般学生、明美 由だよ♡ あたしの得意なことは演技と武術。将来の夢は完璧なメスガキになること! あたしと付き合えるかもって思ってるキモドーテの皆さ~ん。あたしと付き合いたいならモデル出演回数、世界一位のモデルさんにでもなって来てから言ってね♡ あっでもこの教室にそんな顔面偏差値持ってる人いないか、残念♡」
と顔をにやつかせながらメスガキを披露。
クラスメイト達を見渡すと、それまで騒がしかったクラスのみんなが一斉にポカンと口を開けて呆然としている姿が目に入った。
ふふふ、存分に苦しむといいさ。
皆が戸惑い始めているところに、あたしの隣で佇んでいた先生が一声かける。
「……え、えと、みなさ〜ん!! 明美さんに何か質問やお話ししたいことはありますかー?」
流石は先生。あたしが最悪な空気にしてしまったのに、勇気を出してクラスメイトを盛り上げようと奮起している。
でも、あんな自己紹介をしたあたしに質問してくる人なんているわけないよね?
と思っていた時期があたしにもありました。
重い空気の中、勇敢にも一人の少女がその場で手を振り上げた。その直後、クラス内は驚きの声で溢れ出した。
「あの冷酷非情の会長が自ら、は、話しかけるだとゥッ!?」
「あ、明日は地球が滅亡するのかしら?」
さっさと自己紹介を終わられて、休み時間にメスガキムーブする人を探そうとしてたのに……すごい人来ちゃったよ。
会長と呼ばれた女子高生の見た目を一言で表すなら……まさしく陰キャと呼ぶのに相応しい子って感じ。前髪でお顔が隠れてるし、ボサボサな髪に眼鏡をかけてるし……あっでも、唯一陰キャではないかもしれないのが胸(メロン)!! ぼよんぼよんだよ。
そんな彼女は、堂々と立ち上がり教卓まで足を運んで、あたしと向かい合う形で話しかけてくる。
「……私は今月、生徒会長に任命された穂波 香織よ。まずは明美さん。この学園に入学してきて”貰った”ことに感謝しているわ」
礼儀正しく自己紹介を行う、陰キャ。
「別に好きでこの学園に入学してきたわけじゃないけど? すこーし、大人の事情って奴があっただけで、こんなボロ学園に入りたいだなんて一ミリも思って無いんだけど? 会長、勘違いしててだっさぁ~い♡」
陰キャっぽい見た目のクラスメイトは会長さんだけなので、ここぞとばかりにメスガキムーブを仕込んでみたんだけど……。
「そう。それは残念だけれど、私たち王宮西方学園は貴方を歓迎するわ」
と、見事に受け流された。
むむむ、これは強敵になる予感。そう思っていたら、会長さんはお返しといわんばかりにあたしの目の前で余裕の笑みを浮かべる。
その表情からは「貴方の考えていることなんて全てお見通しよ」と言われているような気がして……。
……何故か、すっごく嫌な予感がする!!
「それと、これは私が個人的に伝えたいことなのだけれど……聞いてくれる?」
「ハ、ハァ? あたしにそんな時間は――」
「言わせてもらうわね」
うぐぐ……変な流れを断ち切ろうと試行錯誤しているのに、こちらの意図をことごとくぶち壊してくる。
会長さんは、何事もなかったように深く深呼吸して教卓越しにあたしの両手を強く掴む。
「……え、あの」
困惑するあたしに、身を乗り出して更に詰め寄ってきた香織さんは禁断の言葉を口にする。
「明美さん、私は貴方のことがずっと大好きでした。だから、私と結婚を大前提に、付き合ってください」
……。
「「……………………………………………………………………………………は?」」
無慈悲とも言える言葉を世界に解き放った。
◆◆◆ 第3話 入学早々秒で絡まれた(終)
モノガタリガチョットジシンナイカラコレカラモトウコウオソクナルトオモイマス。ゴメンネ。
TSメスガキは秒でわからされる。 YB @Furi-za5332
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