謎に解決、論理にどんでん返し。ミステリの魅力を非常にバランス良く配置した本作は、青春の日常の謎の王道と言えるでしょう。
「俺」こと米塚は、クラスメイトの丸田にとある席替えの話を持ちかけられる。丸田の意中の「天使」、吉川葵の席についてのことだ。
なんでも、彼女の隣の席を富本という奴が不正に奪ったというのだ。富本は学級委員長を務める男で、席替えに使用する「くじ引き」を行った張本人であった。しかし不正には何の証拠も残っておらず――。
「席替えの謎」を解き明かすハウダニット以外にも、伏線やミスリードが張り巡らされており、引き締まった短編であったと感じます。
前作『4.7㎞は少し遠い』に引き続き、論理構造が丁寧で読み応えがありました。ライトな多重解決のお手本といった印象で、読んでいて心地よいです。
文章も手馴れていてリーダビリティーが高く維持されており、ところどころコミカルな会話が差し込まれるのも好印象。
全体的に大変完成度の高い一編であったと思います。自信を持ってオススメできる本格ミステリの名編でした!