第38話 【アッシュSIDE】 こんな事は有りえない
「【
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
クソ!!
クソ!!
何なんだこれは?
本当にこれは現実か?
「だから言っただろ。俺はロウヒと出会って変わったってな」
俺は女神様を裏切ったダンテ達を断罪し、あの憎き魔女をぶっ殺しに来たはずだ。
王国の兵を複数引き連れ、剣までも新調した。
今日の俺に負けは無いはずなんだ!!
「行くぞ。ギガントドール」
「来るなら来い!!お前なんぞの攻撃など、俺のスキルで跳ね返してやる」
目の前で繰り広げられている現実は俺の想像と乖離していた。
ダンテが魔女から受け取ったという巨大な人形が刻一刻と俺の体を追い詰めていく。
「GUUULAAAAAAAAA!!」
「ッツ、【拒絶の大剣】」
女神様から与えられた光を纏う大剣を振るう。
その剣は巨大な人形の拳と衝突し、辺りに衝撃波を生んだ。
その人形の一撃が……異様に重い。
魔女なんぞから受け取った力で戦うダンテなんかに、この俺が押されている。
「さぁ皆~!王様から受けた修業の成果を見せる時だよ~」
骨が折れそうな痛みに襲われながら鍔迫り合いをする中、ふと周りを見渡した。
そこあったのは、王国の兵たちが人型の影に蹂躙されている姿だった。
その影の出所は鏡を持った一つの人形。
ダンテの隣に立っていた女が操る人形からだった。
「クソッ!?テメェら!!魔女なんぞから貰った力で暴れ回って楽しいか?女神様から与えられた使命を投げ出してこんな事して恥ずかしくないのかよ」
「アッシュ……俺達は女神のせいで苦しんでいる人達を沢山見て来た。だからこそ、ロウヒの作った傀儡人形を使ってこの歪な世界を変えようとしてるんだ」
何が世界を変えたいだ。
元々ザコスキルしか持っていなかった村の落ちこぼれの癖に。
世界が歪んでいるだと?
そんな事がある訳ないだろう。
だって俺が過ごした今までの人生は素晴らしい物だったんだからなぁ!!
「うおぉぉぉぉ!!!お前なんかにぃぃぃぃ!!!」
力を振り絞って剣を振るう。
そして次の瞬間、俺の『武器が触れた物を弾く』スキルが人形の攻撃を上回った。
ダンテがギガントドールと呼んでいた人形が大きくのけぞった。
代償として腕の骨が何本か逝っちまった気がするが、これはチャンスだ!!
ここで一気にダンテを叩く!!
俺は地面を強く蹴って走り始めた。
「こんなスキルじゃ今の俺は倒せないぞ、アッシュ」
「は?」
ダンテは腕を大きく動かし、指先から伸びている紫色の糸を操作した。
「ちょっと前に知り合いから体の動かし方について教えて貰ったばっかりだからな」
その糸はダンテとギガントドールを繋いでいた。
ダンテの大柄な動きに導かれる様に、ギガントドールはその体勢を立て直している?!
まずい、このままあの人形から攻撃されたら……防御が間に合わない!!
「俺の勝ちだ。アッシュ」
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
ドン!!と強い衝撃が体に走った。
俺の体が地面へと強く叩きつけられる。
「俺はお前の事が嫌いだ。だけど殺しはしない」
周りを見てみれば、俺が連れていた兵たちは気を失った状態で人影達に拘束されている。
「ロウヒが願っているのはあくまでこの世界をいい方向に変えていく事だしな……それに、この世界が能力主義じゃ無かったら、お前の事も嫌いにならなかったかもしれないし」
クソッ。
ダンテなんぞに見逃されるなんて、俺は。
「よし、ラファ。一体皆と合流をー」
「ダンテさん!!アッシュさん!!ににに、逃げてください!!」
ダンテがこの場から去ろうとしていたその瞬間だった。
俺とダンテの名前を呼ぶ大声が聞え、俺達の間に誰かが突っ込んでくる。
「お前はー」
「レミール」
そう、俺にこの仕事の話をよこした張本人のレミールだった。
今まで何をしていたと糾弾したいところではあるが……なにやら様子がおかしい。
「お、お願いします。ダンテさん、アッシュさん、逃げて」
「おいおい。アッシュに声をかけるなら分かるけど、敵対してる俺にまでそんな事言うなんてどうしたんだよ」
「おいレミール!!まさか貴様まで女神様を裏切るつもりじゃねぇだろうな!!」
「違うんです……このままだと……このままだと……私が二人を殺してしまいます」
Qザコスキル持ちの俺がスキルを売る魔女に出会ったらどうなる? A才能主義社会に革命を起こす為の戦いが始まる アカアオ @siinsen
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