愛犬「フランス」との日々を描いた書籍化作品ですが、拝読していると受賞と書籍化するのも納得の作品です。
愛犬との交流は、一見美しさや暖かさに包まれた日々と思いがちですが、相手は当然ながら人間ではない。
言葉も通じないし感情や意思の疎通も実は困難な別の生き物なんだ、と言う葛藤がリアルな筆致で伝わってきます……
でも、そこには根底に深い愛情が流れています。
戸惑い、時にはイライラしながらも愛している。
戸惑いも不安も苛立ちも、全て愛しているからこそ。
愛って色んな形がある。
その中でもリアルで純粋な愛が、ペットと飼い主と言う関係性の中で描かれ、それ故に痛いくらいに綺麗で暖かく伝わってきます。
現在、当方ではコーギー犬を飼っています。
おじいちゃん犬というほどではないけれど人間で言えば初老に近づいています。
まだまだ元気。時々下痢はするけれど、毎日家の中を走り回っています。
しかし、そうした日々がいつまでも続くわけではありません。
やがてくる死。
見て見ぬふりしてたくなるこの問題に、本作は真摯に取り組んでいます。
描かれるのは、ワンちゃん「フランス」との最後の日々。
生は喜びをもたらすのに対し、死は悲しみをもたらします。
飼い主の介護負担も相当のものであったとそうぞうします。
> ……命を背負うというのは、なんと苦しいことでしょう。
> 今ここでフランスが死んだら、私は「もっとしてあげたらよかった」なんて、後悔しないでしょうか。フランスの使っていたタオルケットやクッションを見て、いないことに胸を締め付けられるのでしょうか。
この言葉を読んで、ハッとしました。
幸いにも僕のところの犬は生きている。
元気でいる。
その間に、やれることがあるんじゃないかと。
もっと愛するべきなんじゃないかと。
本作の「フランス」の最後には涙を禁じえません。
命を背負うことの重み。
そのすべてを全うし、そして創造的なエッセイを残したロンズさんの仕事に敬意を評します。
こちらのエッセイは、作者さまが飼われていた愛犬との日々が綴られています。
そんな日々は、その一匹の命が空へ旅立つまで描かれています。
ラストは涙無しでは読めませんでした。
恐らく、リアルタイムで綴られている部分も多く、作者さまの想いと、言葉のひとつひとつがすぐそこにあって、とても胸に刺さります。
ただ毎日を生きること、その淡々とした日々に、どうしようもなく虚しくなる時もある。
己自身に価値を感じない、そんな感情を払拭してくれるような、素晴らしいエッセイでした。
生と死の狭間にある掛け替えのない幸せな日々を、ぜひ体感してもらいたいです。
読ませてくれてありがとう!!!!!
「受賞おめでとうございます!!!」から始めようと思ってましたが、まず伝えたいのはこっちです。
むせび泣いてしまって、数日置かないとレビューできませんでした。。。
こちらのエッセイ、フランスちゃんへの深い感謝と、どうか今も幸せであれという祈りが、全文通して溢れています。
ただひたすら愛しかないです。
最良の飼い主じゃなかった、もっとああするべきだったと後悔されていたりもするのですが、愛犬の一挙手一投足に気を配り、表情や尻尾の動きを見逃さず、久々に走ったりしたら夜の住宅地で快哉を叫んだりする、特大の愛が描かれています。
とあるワンちゃんと飼い主の物語です。
でもその必死でまっすぐな愛は、見送った経験を持つ全ての人にぶっ刺さります。
コメントやレビューに「うちのこを思い出しました」というお声をお見かけしますが、わたしも最愛の猫のことを思い出しました…。
苦しくも愛に溢れたエッセイを通して、10年前に旅立ったあの子に久しぶりに会えた気がします。
静かな語り口ですが、きっと魂を削るようにして執筆されたこととお見受けします。私なら泣きすぎて目が取れてると思いながら読みましたので。。
書き上げられた偉大な愛と精神力を、心から尊敬します。
尊いものを読ませてくださりありがとうございました。フランスちゃんと作者先生ファミリーが幸せでありますように!!
ひとまずワンちゃんに対しお悔やみ申し上げます。
恐れ多くも自分語りさせていただきますと、私も去年の11月に親父を亡くしたばかりなのですが作者様と違いこちらは最期を看取ることが叶いませんでした。
実の父親としてはあまり尊敬もしていませんでしたが、仕方ないとはいえ親不孝なことをしてしまったと今でも思ってなりません。それと比べれば作者様は実に献身的で愛に溢れており結果として無事に最期をその胸の中に抱きかかえられたので、その家族孝行さが文章を通じて伝わってきます。
「とてもよく頑張りました。あなた達は偉い!」と、稚拙ですが作者様そしてワンちゃんに対して励ましの言葉を送らせていただく次第です。素敵なエッセイをどうもありがとうございました。