ライブ
山川タロー
第1話
娘は大学院を出てフリーターをしている。フリーターといってもアルバイトをするわけでもなく毎日家でぶらぶらしている。たまに地下アイドルのライブに行く。
これまでの話ではどこにでもいる日本の普通の家庭といったところか。普通の家庭と違ったところが一つあるとすれば、私が娘と一緒にメンズのライブによく行くことである。最近は年金生活が始まり一緒に行く回数はぐっと減ったが、たまにパパも招待を受けることがあり、たまに一緒にライブに行く。
まあメンズのライブであるから参加者はほぼ若い女性で占められている。たまに年配の女性や若い男性がいることもあるが、年配の男性しかも娘と親子での参加となるとめったにお目にかかれない。そうであるから普通の家庭と違うのだろう。
なぜこのような事態になったのかを説明しよう。娘は小さい頃から乗り物に極端に弱かった。だからどこに行くにも徒歩で行った。小学校の一年から地元の少年団に入って練習試合があると父親が同伴で歩いて連れて行った。保護書として試合を見て応援し他の母親にまざって昼ご飯を食べ、帰りにはまた娘と二人でとぼとぼ家路につく。そんなかけで生姜l遅行の修学旅行は不参加だった。バスで赤城山なんて行けるわけがない。後日修学旅行の写真の申し込みがあり、娘は行ったわけでもないのに何枚か申し込んだ。修学旅行を思い出として残して置きたかったのだろう。中学の修学旅行は鎌倉だった。私たち親子は前の日に先に鎌倉に行って娘の体調を整えた上で修学旅行に臨んだ。母親は翌朝一番で帰った。私は鎌倉で万一に備えて待機していた。昼を過ぎた頃携帯に一本の電話がかかってきた。娘の具合が悪いと。娘は旅行を離脱し私は娘を介護しながら家に連れて帰った。その後娘は一週間が学校を休む羽目になった。
娘は一度戻すと戻し続ける周期性嘔吐症を発症する。三日三晩戻し続ける。夜も眠れずひたすら戻し続ける。本人の苦しみは想像を絶する。こんなことを何度も繰り返している。乗り物酔いだけでなく温度差にもやられる。ひどく暑がりで極端な寒さにも弱い。診断されたわけではないが自律神経失調症ではないかと思われた。娘が特異体質であらうということがお分かりいただけたと思う。そういうことでライブ会場は都内が多いため父親同伴で酸化するようになった。いざという時周りに迷惑をかけず迅速に対応するためである。最近は私が年金生活のため娘は一人でライブに行っている。月日が経ち娘は一人で行けるようになった。
最近娘もライブの知り合いが増えライブに招待されることがある。招待とは、例えば十人招待すると演者とプリクラを撮ったりできる特典が付く。しかし招待すると基本チケット代、ドリンク代は招待する側の負担となる。チケット代3000円、ドリンク代600円として十人招待すると36000円である。そこまでして演者とプリクラを撮りたいのかと考えてしまう。
リリースイベント(リリイベ)について話をしよう。リリイベは演者が新曲CDの発売日の数か月前からCDの販売促進を目的にインストアライブを開催するものである。CDは多くの場合シングルであるがアルバムの場合もある。多くは一種類ではなく販売数を増やすために数種類(タイプA、タイプB、・・・)のCDを用意する。CDを購入すrとそのインストアライブの終了後CDの枚数に応じた特典券によって演者との動画撮影、全体チェキ会、個別チェキ会へと進んで行く。ファンは演者と撮影したり、会話したり、時にはハグをしたいがために同じCDを何枚も何枚も買うことになる。演者サイドはそうして販売数を伸ばしていく。予約販売当日はCDの予約販売のみ行われ、発売日当日(もしくは前日)以降予約購買しおたCDを回収していくことになる。うちの娘もそうしたファンの一人であり発売日当日以降CDを回収するのは父親の役目ということになっている。インストアライブは広範囲で行われるため回収に回るのも大変である。さらに枚数も十枚、二十枚ではなく、へたをしたら何十枚にも及ぶこともあり、一日での回収は回る会場の距離とCDの重量から不可能で回収に数日を要する。そんなわけでCDの購入額は高額となりさらに回収したCDの保管場所などで家と家計を圧迫する。なぜそんな思いをしてリリイベに参加するのk。それはなぜライブに参加すのかという質問と同じである。娘曰く「生きるために必要なこと」らしい。
チェキ一枚千円(或いは千五百円)一人の演者に一枚ないし二枚(人によってはとんでもない数をとっいている人もいる)、推している演者も一人ではない。一グループ一人ないし二人、へたをしたら三人というのもある。相当な額をチェキ代に費やしている。ライブのチケット代もさることながらこのチェキ代が家計を圧迫する。
一方ライブ活動が娘の乗り物酔いを改善し人間関係の構築、社会適応力を増大させたことも事実であり、生きるための糧、そのコストは必要経費であると考えるようにしている。しかしながら最近は年金生活に父親が突入したことによりライブ経費の圧縮を娘も余儀なくされている。
ライブ 山川タロー @okochiyuko
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