親友が神様にお願いして、俺をTSったハナシ

逢乙

親友の願望が俺を女の子にしやがった(TS)

episode1 友人の願望

「お前がまさか…ホモだったとは…」


「違うよ」


「じゃあくっつくなっ!離れろっ」


 俺は数時間前まで男だった、健全な高校生だった。なんとなく思いつきで友達と神社で手を合わせた。こんなとこあったっけ?て思うような小さな寂れた社でだ。願い事をしたんだ、「恋がしたい」って。


 そしたら光を纏った唐衣裳姿の美しい女性が現れてさ、その瞬間に学ランの下は明らかな女体になっていて…俺の大切なのも一緒になくなっちまった。髪も長くなっていて焦った、鎖骨まで伸びてた。もはや呪いだ。元々中性的な顔立ちだったから違和感はない、だがこんな突然、うちに帰れないじゃないか。


「結局下心かよ、俺の体が女だからっていう」


「は?いつも通りじゃん俺達…いつもここで遊んでた。じゃあゲームでもする?」


 このやり取りをしているのは、共に神社へ行き、この一部始終を知る幼馴染の蓮介だ。こいつの親は共働きでまだ帰って来ていない、今は夕方だ。何故か一緒にベッドで寝ている、向き合うように横になっていた。ちなみに学ランは着替えた、パーカーとズボンを貸してもらったのだ。どうやって家に帰るか話し合っている途中で、眠くなって俺は寝てしまった。無防備過ぎるぜ、ふぁっく。


「こんなのいつもやってたら完全にホモじゃねぇか、ぶち殺すぞっ」


 凄んで睨むと吹き出され、端正な顔つきで微笑まれた。ハーフアップショートの下にある瞳が細められた、そして額を猫のように押し当てられる。蓮介は学生服の上着だけ脱いでいる、慌てて胸元のシャツに目を泳がした。白いボタンを凝視する。


みなとは何をお願いした?」


 愉快そうに笑う声に唇を噛みしめる、そして気後れせずにハッキリと伝えた。


「――恋がしてぇってお願いした!」


 腕で抱き寄せられる、体が制服越しに密着していく。男同士ではない、男女の体が。


「俺はね」


 耳許で囁かれた、その内容に思わず瞳を見開く。そしてキスをされた。吐息が混じった。なんで動けないんだろう、魔法にかかったかのように。この微睡みを帯びた感覚に溺れていく。嫌だ、これは、絶対に俺の願いじゃない。これはきっと蓮介の、強い願望。


 ―――ようやくこうして、君を抱き締められる。


「あいしてるよ」


 end

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