①では祖母の話を聞いていた側だったが、②では作者自身が「見てしまった」話になる。
宗教嫌いの父親の影響で神仏の不思議に懐疑的だった高校生の作者。こたつに家族で入りながら、隣の道場からヘビーな相談が筒抜けで聞こえてくる日常。そして偶然に、失踪した夫を持つおばさんの連れていた娘が、自分の隣の席のクラスメイトだと気づいた時の焦り。
祖母は「今週中に帰ってくる」と言った。三年も失踪していた人間が、一週間で。
そして本当に帰ってきた。しかも神様が言った通りの場所で働いていた。
「うそやろ! プラシーボじゃ無理じゃん! 」
この一行に全てが詰まっている。信仰の話でもホラーでもなく、ただ目の前で起きた話として淡々と書かれているからこそ、重さが違う。①を読んでからこちらに来ると、さらに響く。