第11話「翌朝の出来事」

ハルジークとカナリアが宿に帰ってきてから数時間後、他の寝ていた4人は朝を迎えた。


「ふあぁ...アレキス、もう朝だぞ」

リュートがアレキスを起こし、残り2部屋の扉にノックをしに行った。


コンコン、とまずはソフィアとリディアの2人の部屋をノックする。

「はーい」

と、ソフィアの声がする。

「もう朝だよ」

とリュートが声を掛けると、

「分かってる。リディアを起こしてくる」

その声を聞き、リュートは次にハルジークとカナリアの2人の部屋をノックする。


が、返事は無い。


「ハルジーク、カナリア、もう朝だよ!」

大声を出すも、聞こえていないのか寝ているのか、まったく反応も無い。


少しして、ドアの前にリュート、アレキス、ソフィア、リディアの4人が集まった。


「そうだ、私に任せて」

とソフィアが言い、ドアの前に立った。


「Knock, knock.(コンコン。)」

すると、一拍置いて奥からカナリアの声がする。

「Who's there?(誰ですか?)」

と、返事が聞こえたのでそのまま続ける。

「Sofia.(ソフィアよ。)」

「Sofia who?(ソフィア?苗字は?)」

「I'm not Bulgaria.(ブルガリアではないわ。)」

一通り会話を終えた後、カナリアはドアを開いた。

「...寝起きにしてはよく頭が回ってますね。それにしても"ブルガリア"なんて何処で知ったんですか?」

「ヨーグルトの名前になっているでしょう?それの"地名説"を信じているだけ」

「あぁ、あのヨーグルトのことですか。確かにメジャーな食べ物ですし、様々な説が出てきてもおかしくありませんね」


などと話していたが、アレキスはとある事に気づく。


「なぁ、ハルジークはまだ起きてないのか?」

そう、まだハルジークの声が聞こえてこないのだ。

その疑問にカナリアが答える。

「ハルジークさんなら夜中に私と一緒に動いたのでまだ寝ていますよ?何か御用でしたら私が伝えておきますよ」

「もしかして、あの依頼のことか?」

「よく覚えていらっしゃいましたね」

「俺の事バカにしてるのか?」

「いえ、そんな事はございません。ただ、早とちりで深夜徘徊と間違えていましたね、と思いまして」

「おい待てどこで聞いた?」

「本人がボヤいていました……が、ここまで騒がしくしておいて、ハルジークさんはまだ寝ていますか。よっぽど疲れていたんですかね?」


会話を聞いたリュートが、

「じゃあ僕が起こそうか?」

と言ったが、カナリアが

「いえ、私がやっておきます」

と拒否した。


すると、カナリアはおもむろにハルジークが寝ているベッドに近づき、彼の耳元に口を近づけた。

そして、


「ふーっ」


と息を吹きかけた。

それに余程驚いたのか、ハルジークは素早く飛び起きた。

目を見開き、周囲を見回した。すると、5人が視界に入る。


そして開口一番、

「…いやお前ら何してんねん」

「「「「「いやこっちの台詞だ(よ)!!」」」」」

当然のように総ツッコミが来た。

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