権力も財力も期待できない第七王子とか貴族の八男と違って、剣術の大家に生まれた九男だったら剣の腕さえ優れてさえいれば後継者に選ばれないこともない。けれども律九珠という名の剣客は、竹林の隠者と呼ばれていた簫無唱と戦い敗れたことをきかっけに、家名の再興という父の悲願をあっさり捨てて無唱の弟子になってしまう。家名に縛られどこか窮屈そうだった九珠の日々が、心から尊敬できる師匠との出会いで変わり、それが本当の強さへとつながっていく。九男とされている九珠の意外な“正体”も含めて、押しつけられた運命に逆らい自分自身のために生きることの大切さも教えてくれる物語です。無唱による修行の描写も剣客たちを相手に九珠が繰り広げる戦いの描写も緻密でスリリング。車椅子に乗った元達人や父と競い合った剣客らとの出会いを経て、因縁の相手との対峙へと至ったその先で九珠がいったい何を成し遂げるのか? 先への興味が尽きません。
(すごい修行にチートも乗っけて武術を極める主人公たち4選/文=タニグチリウイチ)