美しい仕掛け絵本の中に迷い込んだ現実の少年が、縦横無尽に駆け回ってゆくようなイメージを纏う作品です。 世界設定や架空の神話・逸話の魅力はもちろんのこと、それを描き出す表現についても美しく、見惚れるような心地で読み進めさせていただきました。 また、主人公のリトラはいい意味で肩の力の抜けた気負わない性格で、緻密な世界設定の中でも軽やかに歩みを進めていってくれるのが魅力的です。 素敵な作品をありがとうございます、今後とも応援しております!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(468文字)
風の音が奇妙にざわめく動きのある夜の物語。暑さとか寒さもそうなのだけど、湿度と粘り気が空気を重い膜のように感じさせる。そういう夜の物語。言葉の含意に香りをもたせる演出は人物の会話に厚みをもたせている。単に色付けではなく世界の説明にもなっている。大変よろしいと思います。
未知や不思議、冒険と発見に心躍らせる少年、リトラ。彼の軽妙な言葉回しや好奇心に惹かれるように物語に引き寄せられます。フェザーと名乗る女性とともに湖の古城に向かい出会うのは、人が語り継いできた〈伝説〉。そして、そこからもたらされる業。心くすぐる伝説や神話をもとに〈物語〉について考えさせられたお話でした。改めて、自分が紡ぎ出す物語に真摯に向き合いたいと思わされます。伝説や神話が好きな人だけでなく、〈物語〉が好きな人に立ち寄っていただきたいお話です。