第16話:迎賓は刑罰を兼ねて
王城にある王室に連行されたリオス一向。玉座には銀髪碧眼を持つ王様、『アイエス・アルフレット』が座り、そこから、彼らを困った表情を見ていた。
「御主達がアドベン都を救ってくれた事には感謝している…が、その前に問題を起こされては困るのぉ。」
玉座の左の傍らで立っていた黄金の鎧を纏った小太りの騎士が立っていた。
短い金髪と翡翠の眼は綺麗に見えるが、どこか偉そうな感じがした。
彼を見たグロリアは苦虫を噛み潰したように暗い顔を見せた。
「貴方方の罪状はこのブレブスター騎士王国騎士団団長である私、デイヴ・ルートヴィッヒが読み上げます。まず、エアノーラ・ユグドラセル様。貴方は王都一の魔法屋、バストン魔商店を取引した
その罪状にエアノーラは不服と感じたのか、顔をムッと膨らませる。
「何よ、そっちの品揃えが悪いだけじゃない! 文句言ったって、バチは当たらないわよ! それに、私の
「いや、貴方のいう高等以上の魔法を求めるのも、危険な
その罪状にリョーマは頭を掻いて、困っていた。
「おいおい、俺はただ刀を見せただけだぞ。」
「刀を見せただけで、その鍛冶屋に火事ができて、店主とその孫娘が首を吊つろうとしたんですか? 後で事情聴取が必要ですね。次に、ディムナ・ダマスカス様。貴方は露店の人に騙して、麻薬を渡したそうですね。」
その罪状にディムナは愉快そうに笑った。
「ガハハハ! それはすまなかった、地元に使われる調味料だったから、下界の人に耐性が無いのは知らなかった!」
「知らないで済むなら、騎士団は入りません。次に、シェナ・セイクリウス様とオウヒ様に関してですが、まぁ、王都の民が先に失礼な事をしたのでお咎めなしです。まぁ、これからはあんな滅茶苦茶な妖術や聖術を使わないで下さいね。」
その情状酌量にシェナとオウヒは頭を下げて、感謝した。
「御心遣い感謝します。デイヴ卿。」
「ん、ごめんなさい。」
「次は気を付けて下さいね。そして、グロリア・アニムスアニマさん。」
デイヴ卿に名前を呼ばれたグロリアに緊張が走り、恐る恐る立ち上がる。
「貴方がいながら、この様な事態を起こすなど、監督責任がありませんね。」
「ですが、私さえもまさかこんな事になるとは…」
「先代騎士団長である貴方の御父上ならこんな事態を想像つきます。彼はこの国で誰よりも聡明で、思慮深い方ですからね。」
デイヴ卿に嗜められたグロリアは内心憤り、握った拳を震わせるも、怒りを表にせず、抑えながら、頭を下げた。
「亡き父上に恥じぬよう、気を付けます。」
グロリアの悲痛な思いを察したリオスは彼女を心配する中、アイエス王はリオスたちの処遇を決めかねていた。
「ふむ、国の恩人に処罰を与えるのも酷だし、褒賞を無かった事にしたら、王国の沽券に関わるのう。」
悩める王を見かねたデイヴ卿はある進言を囁く。
「では、恩人である彼らには王国騎士団や宮廷魔導師団、王国の大教会に入ってもらいましょう。」
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