第9話:集結の超越者たち

 リオスは草原から起き上がり、目を覚ますと、眠っていたグロリア、そして、喧嘩した仲間たちがいた。

 彼はバツが悪そうな態度で、そっぽ向き、エアノーラは溜息を吐く。

「まったく、私たちからよくも逃げてくれたわね。あれから大変だったわよ、備品整理も、食事も、」

「エアノーラ、謝るべきはリオスではなく、私たちですよ。」

「というか、常識的に考えて、エアノーラが一番悪いぜ。」

「そうそう、リオス以外みんな酒に酔って、失言とか悪口とか云々かんぬん言ったのは思い出したが、一番、リオスを貶したのわ、お前だろ。」

「うんうん、兄にの幼馴染だからって、素直にならないと、嫌われるよ。」

「…分かったわよ。」

 エアノーラが顔を赤らめたことに気付いたリオスは彼女たちに向き直り、そのことに気付いた彼女たちは一生懸命、

「いっせーので…ごめんなさい!」

土下座した。

「あんたがいないと、せっかく手に入れた魔導具マジックアイテム魔導書グリモワールが整理できないのよ! 酒で調子に乗って、"リオスは零級魔法しか使えないボンクラ"っで言ってごめんなさい!」

「リオス、すまん! 俺が調子に乗って、"リオスは格闘技下手すぎて、大鬼族オーガの下手くそな舞だな。"と言って、すまなかった! 弟分であるお前がいないと、まともな食事が取れないんだ!」

「俺やディムナは食材を焼いて、調味料を掛けたものしか作れねぇし、女性陣に関しては、料理が下手すぎて、焦げ混ぜた暗黒物質ダークマターにしか見えないんだ! "包丁しか能のない専属主夫"って罵って、悪かった! だから、戻って来てくれ、頼む、この通り!」

「リオスがいないと、髪や肌の手入れしか出来ないし、聖術を使うしか、寝癖を直せないの! "リオスが将来、穀潰しになっても、私が養ってあげる。"なんて、冗談でも傷付けるようなことを言って、ごめんなさい!」

「兄にがいないと寂しい! 寝る時も、お風呂も、食べる時も、一緒がいい! "兄にが私たちに嫉妬してる時、歯軋りし過ぎて、お顔が不細工だよ。"って言って、ごめんなさい! 兄にがいないと、私、どうかしちゃうの!」

「だから、許して! 私たちのパーティーはリオスがいないと、壊滅するから! お願いよ! お願いします!」

 言う事成す事散々なことをし、切羽詰まった表情でリオスに懇願する四人の超越者たち。

 普通なら許せないであろう所業にリオスは呆れてもなお、こう言った。

「じゃあ、道具の整備も、料理も、手入れも、日常生活に欠かせないこと全てを僕が教えて、実行出来るなら、許してあげます。」

「うぅ…ありがとう、リオス。料理は失敗しても知らないけど。」

「ああ、弟分に頼りっぱなしも何なんだからな。」

「というか、俺たち四人は生活能力が皆無過ぎだろう、今更だけど。」

「リオスと一緒に料理…お姉ちゃんとして、嬉しいわ。」

「やったー! また、兄にと一緒だ!」

 険悪な雰囲気を脱し、五人の仲が一層深まった。

「ふざけるな! 馬鹿野郎供が!」

「わっ、びっくりした!? グロリアさん、大丈夫ですか!?」

「大丈夫も糞もあるか! 古代魔法エンシャントマジックやら、肉体を武器にしてるやら、凄すぎる剣技やら、黒穴ブラックホールやら、転生やらで、こっちの常識が大混乱じゃ、ボケぇ! 馬鹿にしてたのか、私が弱いから、弱々しい振りしやがって! 強いなら、強いと教えてくれ! 何がLvレベル0だ! 50か80はいってるぞ!」

 グロリアの怒鳴り声にリオスは戸惑うも、彼はこう言う。

「すみません、僕はLvレベル0じゃなく、Rkランク0、つまり、Rkランク1のLvレベル1000に満たない、Lvレベル999です。」

Lvレベル999!? 嘘だろ、嘘つけ! そんな神様みたいな奴がここにいる訳が…」

 グロリアの驚き様にエアノーラら四人の超越者はニヤついて笑う。

「へぇ、下界が大したことないから、教えて上げる。私たちは英霊郷ヘロアスファリアから来た最上位種族よ。私の名前はエアノーラ・ユグドラセル、古代森人族アールヴ魔導女王マジックロード・クイーンで、Rkランク5Lvレベル99よ。」

「俺様はディムナ・ダマスカス、古代鉱人族ドヴェルグ万闘修道僧バトルロード・モンクで、Rkランク4Lvレベル99だ。」

「俺はリョウマ・キルカミ、鬼神族アスラーシャ剣聖帝ソードマスターロードで、Rkランク3Lvレベル99だ。よろしくな。」

「私はシェナ・セイクリウス、龍王族ナーガラージャ大聖女グラン・セイントレスで、Rk《ランク》6Lvレベル80です。だから、あなたもたっぷりと可愛いがってあげるわ。」

「オウヒはオウヒ、天狐種の獣女王族ライカン・クイーン神くノ一ゴッデスクノイチで、Rk《ランク》2Lvレベル80。そして、リオス・エルトールという兄にの妹。そこが一番大事だからよろしく。」

「そして、僕はリオス・エルトール、勇者の血を引く古代人族エンシャンター万能冒険者マスターアドベンチャラーです。以後、お見知り置きを。」

「伝説の種族と伝説の職業のバーゲンセールではないか…!? それに英霊郷ヘロアスファリアって、初代勇者が安住の地に選んだ世界の果て…ふざけるな…ふざけるなぁ!」

 グロリアはただ非常識な事に憤り、叫ぶことしかできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る