第6話:古代鉱人族 ドヴェルグ ディムナ・ダマスカス & 鬼神族 アスラーシャ リョウマ・キルカミ
グロリアとリオスを連れ、エアノーラが転移したのは西の城壁であった。
そこには多くの魔物が蔓延り、今にも城壁の向こうにある街を呑み込もうとする。
「そんな馬鹿な、魔物の軍勢が此処にも…」
「そりゃあ、私が蹴散らした北の方以外も東西南にそれぞれいるからね。」
「何で、そんな暢気なことを言っているんだ! このままではこの街が魔物共に喰らい尽くされるぞ!」
「よーく、見なさいよ。」
グロリアが魔物の群れをよく見れば、群れは城壁には向かわず、草原の中心に集まっていた。
さらに、その中心から魔物の死骸が吹き出すかのように吹き飛ばされていた。
その理由は中心にいる二人だった。
「ガハハハハハ! 喰らいやがれ、
蒼いドレッドヘアーと瞳を持つ
「おいおい、跡形もなく飛び散ったら、数が数えられないだろうが、それが常識だろ。あらよっと、
翠のポニーテールと瞳、一本角、額に十字傷と一本字の傷を加えたを持つ
前者は上半身裸のまま、黄金ね外套を身に纏い、ブラックダイヤモンドを散りばめた黄金のベルトを腰に巻いた武闘家で、後者は緑の立派な着物と紺色の袴を着た侍があの恐怖たる魔物の群れが無惨に散らされていた。
そんな二人の前に塔のように長い禍々しい紫の一本角を持つ黒い巨猪二体が赤い双眸で睨みながら、現れた。
「あれはなんだ!?」
「さっきの
駆け出すその
「喰らいやがれ、
「
「ふっ、これで俺は一万五千匹! リョウマは一万三千匹で俺の勝ちだ!」
「何言ってるんだ、俺が一万三千五百匹で、ディムナは一万二千五百匹じゃあねぇか! 形を粉砕するから数え間違えるんだよ!」
「ハッハッハッ、負け惜しみだな! 分かった分かった、今回はお前の勝ちにしてやるよ! 俺は兄貴分だ、弟分に勝ちを譲るぜ!」
「たくっ、誰が弟分だよ。釈然としねぇなぁ。」
そこにリオスを抱き抱え、嫌がるグロリアを無理矢理引き摺ったエアノーラが現れた。
「離してくれ! こっ、殺される! 死にたくない!」
「おお、妹分のエアノーラじゃあねぇか、俺たちの末弟のリオスもいることだし、良かったな!」
「誰が妹分よ! ほら、リオスを背負いなさいよ! 女が男を魔法で抱き抱えるなんて、絵にもならないわ!」
エアノーラはリオスを投げつけ、ディムナが彼を上手くキャッチし、背中に背負った。
「嗚呼、斬らないで下さい! 潰さないで下さい! 助けて、お父様、お母様、お兄様!」
「おいおい、魔物の群れを一つや二つを壊滅させただけでそんなに恐れるなんて…なんてな、俺は常識人だから分かるぜ。俺たちの故郷にいる奴らがここの下界より数段どころか、大幅に強いのは知っているぜ。だから、心置きなく狼狽でも、錯乱してもいいぜ。」
「ほら、自称常識人と魔改造馬鹿はさっさと次に行くわよ。」
「魔改造馬鹿とはな、相変わらず手厳しいな、禁断の魔法少女様は! ガーハッハッハッ!」
「おい、コラ、この常識人に向かっては自称とは聞き捨てならねぇぞ!」
「誰かこの人の皮を被った怪物たちから助けてくれぇ! もう、私は王国に帰りたいんだぁ!」
グロリアの悲鳴も虚しく、エアノーラたちに連れ去られ、転移された。
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