第39話 的中?(勘違いであって、間違いではない)

 明朝になり、シオン達を連れてこっそりと門に集まる。


 すると、そこには既に人々が集まっていた。


 中には武器を持っている人もいたり。


「エルク様! どうかご無事で!」


「もし何あっても、ここは私達に任せてください!」


「ご恩を返す番だぜ!」


「全くもう……ヨゼフ爺?」


 その人々の中心にはヨゼフ爺や、アルルやアメリアがいた。

 そして俺は昨夜、見送りはいらないとヨゼフ爺に伝えたはずなのだ。

 それを知っているからか、ヨゼフ爺が頬をかきながら近づいてくる。


「いやー、申し訳ないですなぁ。私は止めたのですが、彼らが見送ると言ってきかないのです」


「めちゃくちゃ棒読みだけど?」


「ほほっ、これはこれは。そもそも、ワイバーンという大物を狩ってきてエルク殿下がお祭り騒ぎをしないのがおかしいのです」


「それは言えてますね。なるほど、それで住民達が気づいたと。よく主君のことを分かっています」


「ちょっと? どういうイメージさ?」


「「そのままかと」」


 言い返そうと思ったが、上手く言葉が出ない。

 そもそも、この二人には勝てる気がしない。


「はいはい、そうですねー。そりゃ、本当だったらお祭り騒ぎしたいさ」


「我々が準備しときます!」


「なので、帰ってきてください!」


「……仕方ないなぁ。それじゃ、帰ってきたらお祭りだァァァァ!」


「「「おぉぉぉ〜!!!」」」


 こりゃ、無事に帰ってこないとだね。

 すると、アルルとアメリアが前に出てくる。


「わ、わたしも行くわ!」


「ぼ、僕も!」


「いやいや、二人はダメだよ」


「うぅ……わたしが強い魔法が使えたら役に立てるのに」


「ボクも、おじちゃんみたいに強ければ……」


 うーん、二人共おそらく潜在能力は高いはず。

 でも、まだまだ幼いし強くはない。

 何か、気がまぎれることがあればいいけど。


「あっ……その代わり、俺の頼みを聞いてくれるかい?」


「へっ? な、なに!?」


「ボク、頑張ります!」


「んじゃ、今から言うことを準備しといてね」


 それを伝えると、二人は張り切って頷く。

 そして俺達は先遣隊として、急いで村へと向かうのだった。


 ◇


 明け方に出たこともあり、順調に進んでいく。


 そして村付近になり、自分の予想が当たったことを確信した。


 やっぱり——イベントフラグだったァァァ!


「ゲギャ!」

「フゴッ!」

「ゴァ!」


 村を襲っているのはゴブリンにオークの群れ、それにホブゴブリン。

 それらが二メートルある柵を越え、村に入り込もうとしている。


「遅かった!?」


「いや! オレが作っておいた柵が壊されていない!」


「んじゃ、まだ間に合うね! シオン! 俺を抱えて全速力!」


「はっ!」


 シオンが俺を抱えて馬から降り、魔物の群れに駆け出す。

 俺はその間に、両指に魔力を集中させる。


「だ、誰か!?」

「数が多すぎる!」


 村人達が柵を乗り越えようとする魔物を槍で突くけど、それもすぐに限界を迎える。

 俺は村人達に被害が及ばないように気をつけつつ、指先を魔物達に向けた。


氷の散弾アイスガトリング


 名前の通り、連射式のように氷玉が飛んでいく。


「ゴキァ!?」

「グヘェ!?」


 それらが、村に入り込もうとした魔物を貫いていく。

 これで、ひとまずは安心だね。


「だ、誰だ!?」


「シオン! 説明してくる! 時間稼ぎをして!」


「了解です!」


 シオンが向かうのを確認し、村人に話しかける。

 というか、この方は村長さんだ。


「あっ、貴方様は!?」


「良かった、話が早いや。実は、俺は領主でして……」


「は、はい! ユルグ殿に聞いておりました!」


「それなら良かったです。とりあえず、あいつらを消しますので、村人には村の中央に集まるように指示してください」


「わ、わかりました!」


 俺はすぐさまに引き返して、シルクの元に向かう。

 するとユルグさんも合流し、魔物達を蹴散らしていた。

 流石は二人だ、ほとんどの魔物がいなくなってる。

 すると、息を切らしたオルガさんが追いつく。


「も、もう終わっちゃいましたか」


「うーん、どうだろ?」


「主君! あちらからきます!」


「やはり、こちらに本隊が来たらしい!」


 二人の言う通り、次々と魔物達がやってくる。

 それはさっきの比ではなく、数百匹は確実にいるだろう。

 さすがの二人でも、アレを全部は倒せない。


「そうなると、俺の出番だね。シオン、ユルグさん、時間を稼いで」


「はっ! お任せを!」


「いいだろう!」


「オ、オイラはどうしたら?」


「オルガさんは、何があっても俺を守って。あの二人だって、あの数だと撃ち漏らしがある」


「っ……命に代えても!」


「だからダメだって。さて、いっちょやりますか」


 俺は首をコキコキ鳴らし、指を動かして両手をほぐす。


 そして、特大の魔法を放つ準備を始める。


破滅フラグ、ここで消してあげるから覚悟してね。

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