結果発表

 不二華 遥が男と歩いていた。

いつもよりどこか整った見た目で。

いつもより挙動不審で。

そしていつもより、どこか楽しそうに。


そして今回は、後ろの物陰に隠れながら観察している二人がいることが、不二華にとって〈いつも〉ではなかった。


「おいおいおいおいフジカさん…こんなとこで何やってんだろうな~?」


「向こうもまさかデート中にオレらが合流するとは思ってないだろう。知り合いと出会うのも気まずいかもしれん、見つからないようにするぞ。」


「…そうだな。」


そうして友崎は、不二華と男を追いかけた。


そして志摩だけが残される。

「……って、離れるんじゃないのかよ!!」

「…志摩は気にならないのか。」

「気に………なる。」

「だろ。」



さて。


割愛。


おしゃれなカフェ。

「ど、どれを頼めば…」

「とりあえず、前の人と同じの注文しようか。」


キラキラしたアクセサリーショップ。

「ふわぁ…これ見ろよ友崎…。なんかかわいくねぇか?」

「そうか?オレはこっちの方が似合いそうだけど。」


そして、わくわくな遊園地。


そのすべてをストーキングし終えた時、二人はだいぶボロボロでした。

「金が…今月分が……。」

「観覧車は無理だ…観覧車は…。」

そんなどよどよした雰囲気の二人組に、聞き覚えのある明るい声がかかりました。


「どーだった?志摩っち?」

不二華でした。


「不二華ぁ…………ってお前まさか、俺らの尾行に最初から気づいて…!」


「え、あれで尾行のつもりだったの?ハハ、でも楽しかったでしょ、。」

ダブルデート。

だぶるでぇと。


「だっっっから!俺と友崎こいつはそういう関係じゃぁねーっての!!」

「そういう関係じゃなくてもデートはデートでしょ。ね、皐月。」


連れのイケメンの方に振り返って、不二華はそう言いました。

「まったく、そういうことでしたか。も人が悪いですね。」


「姉…さん?」


「そ。皐月はあーしの弟。かっこいいでしょ、惚れんなよ?…それとも、あーしの彼氏だと思った?あーしは皐月が彼女作るまで誰とも付き合わないもんね~。」

「ね~じゃないですよ。そんなこといいながらこうやって僕を振り回すから、僕は僕で姉さんが彼氏作ってくれないと、落ち着いて誰とも付き合えないじゃないんですか。」

「や~んつれない。でもそんなとこがかわいいっしょ?うちの弟。」


そういってギャルが振り返った時、一人の青年と一人のTS娘は、真っ白になってくずおれておりましたとさ。

結局、不二華に秘密の彼氏がいて。

それをかっこよく、そして多少ヤな感じに暴き出す自分たちはいないのでありました。


めでたしめでたし。



「じゃあないでしょ。」

頬をぺしぺしとされ、志摩は我に返る。

「今日のデート、


……。

「それは……うん。」

そういえば今日は、久しぶりに友崎と二人っきりで過ごしたな。

こんな風に遊びまわるのも。

「うん、じゃあよし!!友P!志摩っちが!今日のデート楽しかったってーー!!」

「うぉいバカ!!そーいうことを大声で言うんじゃねー!!!」

「あー…志摩が楽しんでくれたなら…よかった……。」

「やれやれ、にぎやかな人たちだ。」


そんな感じで、気まずかったはずの休日は、幕を閉じていった。



「…そういえば、結局このデートもどき、作戦にどう関係があったんだ?」

「まぁ、なんでもいいだろ…?元気になれたなら。」



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ギャルゲーの主人公視点じゃない奴 箱屋 @hakogiya85

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