平安貴族が月を訪れる――そんな意外な設定に惹かれてページをめくると、そこには思いがけず痛快な異文化交流が広がっていました。
朱鷺は、貴族らしい気品を漂わせつつも自由奔放。彼の目的は「天女との夢のような宴」ですが、月の都の現実はそう甘くありません。彼の前に現れたのは、美しき第一王女スザリノ、聡明な第二王女ルクナン、そして没落した王女ルーアン。特にルーアンは辛辣で奔放。彼女の口から飛び出す言葉は、朱鷺の幻想を容赦なく打ち砕きます。しかしそんなやりとりすら妙に心地よく、二人の掛け合いはこちらを虜にしてきます。
異なる価値観がぶつかり合いながらも、互いに影響を与えていく様子が魅力的。伝統と革新、幻想と現実、その狭間で揺れる登場人物たちのドラマ。雅とSFが織りなす、この唯一無二の世界観をぜひ味わってみてください。
どこをとっても素晴らしい物語なのですが。こちらの物語は、話の作り方や流れ、キャラクターなどが本当に魅力的です!
SFの要素もあれば、ヘイアンと言うオリジナルながらも平安時代に即した時代ものでもあり、楽しいファンタジーもあり、甘いラブロマンスもある!更には、バトルや政治の陰謀と言ったワクワク・ドキドキ展開も多くあります!なので好きな入り口が多くて、誰でも本当にスッと入って行ける作品です!
こちらを読み終われば、スピンオフとして掲載されている方がより楽める構造になっておりますので合わせて楽しんで見てはいかがでしょうか!😊
時はヘイアンの世、三人の貴公子が交換視察団として月へと降り立った。主人公は身分を隠した時の帝、朱鷺。
信頼する仲間とともに降り立った月で、長年の悲願である月の都の女人――「天女らとの酒池肉林三昧の日々を送る」という最大の目的の為に動き始めるのだが····。
当初の目的はだいぶ不純なのですが、話が進むにつれ、月の都の事情が見えてくる。朱鷺はメイドとして働いていたルーアンがかつての第一王妃の娘であることを知り、話を聞いたうえで彼女の目的を叶える為の援者となるのだった―――。
すべての元凶である、宰相ハクレイの悪を暴くため、朱鷺たちの奮闘が始まるのですが、このハクレイのバックグラウンドを知るとまた見え方が違ってきたりして、この悪が必ずしも悪とは限らず、政治的な陰謀、理想、憎しみ、愛、と複雑な物語に変化していきます。
行間が空いていない=苦手=読みづらい。わかります。でも食わず嫌いでこの作品を読んでいない方は、とても損をしている!
読んでみればかなり読みやすく、和風でありSFであり、バトルに戦略、恋模様と色んな要素で溢れた作品。
なにより登場人物たちが楽しい。
しかしながら、地上は地上で政治的な問題が山積みだったり。
主人公に必ずしも完璧な勝利が齎されるわけでもない。ご都合主義がないのでもやもやして心にざっくり爪痕を残してくるし、そこがまた印象深い。
敵側の事情を知るとより話が深まるし、感動もあります。ぜひ最新話まで読み進めて欲しい作品!
歴史系好きな方、SF好きな方、オススメです♪