4
お昼休み
「元気さん、お昼一緒に行きませんか?」
午前中は先輩達による優しい教育があり、その先輩達からのお昼の誘いを断り元気さんに声を掛けた。
仕事を何もしていなかったのか週刊誌の漫画を読み続けていた元気さんは、少し驚いた顔で私のことを見てきた。
「俺?」
「はい。」
「何で?」
そう聞かれてしまって・・・
それにはやっぱり凄くショックを受けてしまう。
「1年前、一緒にご飯に行こうって約束してくれたので・・・。」
「誰が?」
「元気さんが。」
「誰に?」
「私に。」
本当のことを答えると、元気さんが爆笑した。
「いやいやいや!!ないっしょ!!
何で俺がキミとご飯に行く約束するの!?」
そんな言葉に泣きそうになっていると、総務部の綺麗な女の人達が笑いながら声を掛けてきた。
「元気君、ナンパしちゃったんじゃないの~?」
「それこそないっすよ!!
俺放浪の旅に夢中だったので、そういうの一切ないっす!!」
「放浪の旅の途中で国光さんと何かあったんじゃないの?
国光さん、元気君とどこで会ったの?」
総務部の先輩からの質問に少しだけ考え、私は答えた。
「東京です。」
「いや、それはマジでない。
確かに1年に1回はこっちに戻ってきてたけど、それはマジでない。」
「でも元気君の名前だって知ってるし、お酒飲んだ時とかは?」
「俺酒飲んだことないっすから。」
「元気君27歳じゃなかった?」
「そうっすね、でも飲んだことないんで。」
「そうなんだ・・・。
金曜日は元気君と国光さんの歓迎会だけど無理しないでいいからね。」
「りょうかいで~す!」
元気さんが元気にそう言って、また漫画を読み始めてしまった。
落ち込んでいる私を先輩達は困った顔で笑い、社員食堂に連れていってくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます