鼓動
目に見えぬ悪意や憎しみがこの地上に押し寄せ、その中で生きることを余儀なくされた時、いつしかわたしの体は冷たく凍えきってしまった。
それらに抗うすべなどなく、いずれ、この地上のすべては耐えられぬ極寒によって満たされるだろう。
そしてやがてはこの心さえも凍て付かせ、わたしの存在は粉々に砕け散ってしまうのだろう。
深く暗い闇に閉ざされ、世を満たす極寒に震える中、 あなたの声がわたしの心臓にふれた。
最早自身の鼓動にさえも耐えきれなかったわたしのひび割れた心臓に、あなたの声がぬくもりを与えてくれたのだ。
そのぬくもりによって、わたしの存在は感覚を取り戻すことができた。
あなたが握ってくれた手の脈動を、この頬を伝うあたたかな涙の流れを、生き生きと脈打つこの胸の鼓動を、わたしは今確かに感じている。
たとえ悪意や憎しみにさらされ、世が極寒に満たされていようとも、わたしはあなたによってわたしを感じられる。
わたしのこの肉体、この心臓、この存在は、あなたの愛のぬくもりによって息を吹き返し、あなたへの愛の鼓動によって生きている。
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