第16話 脅迫で進んでゆく話を聞いた


「盗賊を探す依頼だが、住処を見つけた」

「よくやってくれた。詳しく話してくれ」

「ああ。まずはあんたにもらった紛失物のリストを使って質屋を回った」


 アンゴザンは都市の西側にある質屋を3件、東側に2件、さらに貧民街の露店市もまわった。

 盗人は盗品をカネにかえるとき、口の堅い質屋に品物を渡す。

 貧民街の質屋は盗品だと気づいていても、黙って引き取ってくれる。彼らは居住環境のつごうで、官憲に告げ口すると恨まれるので何も聞かない。反社会的な人間のインフラになっているので、無茶な買いたたきもできない。ある意味まっとうな商売をしていた。


 アンゴザンはまず、まっとうな商売をしている質屋を当たった。

 高級住宅街に近い質屋には、希少な怪我治療劣等霊薬レッサーネクタルが棚にあったが、どれも鑑定書付き。出処の怪しい未鑑定のポーションなどはなかった。

 リストにあるポーションについて尋ねても、首を振るばかりで情報はない。

 市内で許可を得て営業している、まっとうな質屋だった。


 アンゴザンもこの結果は予想していた。単に「そこにはない」という確信を得るために回ったのだ。


 この調査で1日を使ったアンゴザンは、次の日から貧民街に入った。


 早朝の、狭い通りに人影は少ない。

 市場が開かれ、日雇い労働が募集される時間になると、彼らは仕事を探しに行っているか、

 路上生活者や浮浪者は、物乞い、もしくはスリや窃盗といった軽犯罪に従事している。

 

 アンゴザンは腰につった曲刀を見せびらかすように動かし、入り組んだ道路を歩いた。

 肩を怒らせて歩くのも、心得違いをしたものが、強盗とならないための用心である。狼の巣に羊の格好をしたものがいれば、犯罪者たちは簡単に襲ってくる。もっともアンゴザンはうつむいたクマのような外見をしているため、チンピラどころか一般人からも畏怖されていた。


 すえた臭いのするドブを跨いで、南東市街地にある店を目指した。

 ときおり路地に残っていた浮浪者が、うかがうように頭をあげて彼を見る。

 

 視線をやるとすぐに顔を伏せたが、こういう手合いが危険だと経験から知っていた。市場に行かずに残っている人物は、何かしらの犯罪組織の見張りである可能性が高い。

 縄張りに入った見知らぬよそ者を見つけたら、それが敵対組織や、官憲かもしれない。彼らは逐一、反社組織に報告する役目を持っているのだ。


 アンゴザンをみた男も、彼が通り過ぎたあとに立ち上がって路地裏に消えていた。


「ふん」


 訓練を受けた大人数に囲まれでもしない限り、いくらでもやりようがある。ただ、目障りなのはそうだった。


 いくつもの視線にさらされながら目的の質屋にたどり着いた。

 入り口には、扉のかわりに布が掛けられてある。

 布を分けて中に入ると、混ぜ物の入ったタバコの香りがただよっていた。


 薄暗い、鼠の通り道のような狭い通路だ。左右の棚にガラクタとも判別がつかない品物がならんでいる。


 歪んだ鎧や砕けて半壊した兜、折れた剣が雑多に並んでいる。

 他にもぼろ布の詰まった籠や、まるまった絨毯、雲ったガラス製品、木製の鍋など、高価と安価の品物が、混然と置かれていた。


 奥には白髪頭の老人がいた。

 異臭のするパイプをくゆらせて、目ヤニのついた濁った眼で見つめていた。年老いたネズミのような外見だった。

 アンゴザンはいきなり要件に入った。


「店主、ここ最近、ポーションを売った者はいるか?」

「さあな」

「そいつの情報を教えてくれるだけでいい。カネは払う」

「知らんよ。たとえ知っていても、教えるわけがないと知っているだろう」

「わかっておる。だが、ある程度痛めつければ、おまえのようなやつは喋るとも知っている。どのくらい痛めつけられたい?」

「とんでもない客だな……」


 ネズミのような老人は、疲れたように肩をすくめた。痛めつけられたのなら、情報を漏らしてもいいわけが立つ。目の前の小山のような筋肉をした冒険者に、口八丁では誤魔化せないと理解していた。


「話してくれればそれでいい。まずは金貨3枚。情報がよければもっと払う。それとも殴った後のほうがいいか?」


 革鎧の下につまった筋肉の束から、熱い闘気があふれた。

 アーマーの隙間から露出した肉の盛り上がりは、そこから生み出される破壊力を無言で示している。

 おそらく素手でも、老人の身体を紙切れのように引き裂ける力だった。


「冗談だろう?」

「おれは冗談を好かん」


 それは煙草で老人の濁った目にも、目の前の男がその気になれば、あっさりと殺されるだろうと予感させた。


「ポーションだな。わかったわかった」


 やや早口になった質屋の老人は、出納帳をめくり始めた。


「9日まえに買ってある。旅の錬金術師を名乗る男からだ」

「現物はあるか」

「ほとんど売れちまったが、1本は残っている。その棚にある怪我治療のポーションだ」


 並んでいる酒瓶の中に、不自然に真新しいガラス瓶があった。蓋の封印は削られた痕がある。


「売りにきたのはどんなやつだ」

「薄汚い恰好をした若い男だ。錬金術師を名乗っていたが、そんな学がある顔つきじゃなかったわ」

「知り合いか」

「それを言っちまうと、わしはタレコミ屋になっちまう」

「言い訳しやすいようしてやる」

「いい、いい」


 老人は慌てていった。太い腕で殴られたら、あの世に行く可能性が大。

 老人はまだ死にたくなかった。


「教えてやるからさっさと帰ってくれ。いいか、売りにきたのはノガレって男だ。世間知らずの愚かもので、空き巣をやるのがせいぜいの小物だ。そいつがポーションを売っていったんだ」

「詳しい容姿を教えてくれ」


 老人はノガレが20にも満たない男で、盗賊向けのしなやかな体形、伸ばした前髪で片目を隠しているといった。

 アンゴザンは髪色、歩き方の癖、口調などと、老人が知る限りの彼の個人情報を聞き出した。


「仲間はいるのか?」

「それは自分で確認してくれ。南通りの酒場フキーナの呑欲亭に行けばたむろしてる。見つからないなら、どこかの廃屋にいる。わしが知っているのはそれだけだ」

「世話になった」


 アンゴザンの手が自然に柄に伸びたとき、老人は汗がびっしりと浮かんだ。

 殺される──情報を渡してしまった愚かさを後悔したが、男の手は財布を取り出し、金貨を5枚テーブルに置いた。


「他言無用だぞ」

「もちろんわかってる」


 アンゴザンは質屋を出てしばらく歩いたとき、2人組の男がまえに立ちはだかった。店を出るまで待っていたのだろう。

 初めから短剣を抜いていたので、穏便な物盗りではなさそうだった。


「おっさん、質屋に何の用だったんだい。俺たちに教えてくれよ」

「カネを借りただけだ」

「本当か? 何を質に入れたのか言ってみな」

「琥珀の玉だ」


 アンゴザンは以前、廃鉱山の魔物退治に出かけたときに見かけた、宝石の名前を出した。


「嘘だな。あんたはカネに不自由しているふうには見えない。質屋に来るやつが、手入れのいい鎧を着こんでいるか。ほんとうは、何をしに来たか話してみなよ」

「刻んでやってもいいんだぜ!」


 もうひとりの男は血の気が多い。

 アンゴザンとしては後者の男は扱いやすかったが、もうひとりはたたずまいからして、嘘であしらえる相手ではなかった。


「情報を買いに来た。請け負っている仕事の解決策を、質屋が知っていた」

「どんな依頼だい?」


 音もたてずに短剣の男がにじり寄ってくる。

 明らかに盗賊技能の訓練を受けている。突然切りかかったとしても、タイミングを外され避けられる予感がした。


「正直に話してもいいが、そのあとおれはどうなるんだ? それを言うなら、全部話してやってもいい」

「おれたちは話が聞きたいだけだよ……」


 男が優しい口調でそう言ったとき、アンゴザンの第六感は、横合いから襲ってくる危機を感知した。

 身体をひねり、幻影のようなぼやけた存在が、首に突き出した短刀を避けた。

 革鎧の肩甲を、まっすぐな刃が滑っていった。

 鎧の隙間を貫く刃──スティレットと呼ばれる刺突短剣の先端が狙いを外し、不定形な人影そのものが虚空へと消えていった。


「やるなぁ。俺の幻影撃ゴーストスタブを避けるなんてよ」

「フゥゥ」


 アンゴザンは曲刀を抜いた。闘気を高め、筋肉が盛り上がる。

 目に見えるほどの紫のオーラが全身から立ち上った。軽薄そうな男が口をゆがめた。


「けっ、見掛け倒しの──?」


 男の上半身が、ぽかんと口をあけながら宙を舞った。

 闘気で潤滑された加速術──単純な右薙が生み出した剣閃は、あまりに滑らかだったので、男は反応できなかった。


 胴体を切断し、彼の背後にあった建物の壁にまで鋭い亀裂がはしった。

 折りたたむように男の上半身が倒れた。あたまが敷石にぶつかり、それを支点に半回転する。男はしきりに瞬きしていたが、そのまま静かになった。

 下半身はまだ立っていた。


「手を出してくれたおかげで、やりやすくなった」

「剛剣だなぁ。それで斬られたら死んでしまいそうだ」

「切ってやろうか」

「遠慮しておく」

「嫌か?」

「痛いだろ」

「人を殺そうとしたのに、死にたくないか」

「まだ、なぁ」


 会話をしつつもアンゴザンはじりじりとにじり寄り、逆に男は距離を開けようとしていた。

 男のからだが二重にぶれはじめた。幻影撃の予兆をあからさまに出している。


「会えてよかったよ」


 幻影が、武器を構えて飛び掛かった。アンゴザンの視界は半透明の幻影に覆われた。

 スティレットの先端は0.01平方ミリの点だ。アンゴザンはそれに刃をまっすぐにあわせた。

 火花が散って、刺剣が中央から二つに切り裂かれた。


「なにっ」


 飛び退ろうとしていた男の両足首が斬れた。空中で切り離された下肢がぼとり道路に落ちた。

 しかし男は両足首の先を失ってなお、手の力だけで建物の壁を登り、屋根から声をかけてきた。


「やってくれたなぁ。この借りはそのうち返す」


 そういって、ポーションをあおりつつ、手の力だけで屋根をつたって消えていった。

 明らかな致命傷を負っても逃げきってしまうような相手は、相当の熟練者である。


 アンゴザンは報酬に釣り合わない予感がしたが、依頼の破棄は力量を疑われる。

 彼自身も、面白くなってきた。興奮で肌を沸き立つ。


 死んだ男の懐を探ると、財布があった。なかには少量の硬貨。それに一枚のカード。


「ほう」


 ただのチンピラではないと思ったが、そこに書かれていた情報は盗賊ギルドの一員であるというあかしだった。


  名前:レンドル

  称号:なし

  職業:盗賊シーフレベル7

  所属:イドリーブ・盗賊ギルド

  賞罰:窃盗(罰金済)傷害罪(罰金済)

                      』 


「ただのゴミではないと思ったが……」


 もうひとりもおそらくギルド員だろう。どんな仕事を請け負っていたのかはわからないが、まっとうな相手が出したとは思えなかった。

 周囲で見張っていた浮浪者のひとりをアンゴザンは呼んだ。


「おい、おまえ。こっちにこい」

「へい」

「あいてが先に抜いたのは見たな」

「へ、へえ」

「ならば衛兵に見たままを報告して来い。報酬はこいつの財布だ」

「わかりやした。へへへ」


 浮浪者のひとりは投げた財布を受け取ると、詰所に向かって走っていった。

 アンゴザンは南通りにある《フキーナの呑欲亭》に向かった。


 《フキーナの呑欲亭》は入り口にまともな扉がついていた。

 なかにはいると、狭苦しい店内には、数人の客がすでに酒を飲んで酔っ払っていた。

 入ってきたアンゴザンのすがたをとろりとした目で見て、ふたたびテーブルに目を落とした。

 見たところ、質屋から聞いたノガレらしき容姿の客はいない。ただのよくある吹き溜まりだ。


 アンゴザンは酒場の店主に酒を注文した。


「ノガレに会いたい。居場所を知っているか?」

「そういうあんたはどこの何さまで?」


 敵対的な店主の言葉が返ってきた。このようなうらぶれた酒場にいる人間は、全員が知り合いだらしい。

 よそもののアンゴザンをみて無意識の敵対心を持っていた。


「冒険者のアンゴザンだ。依頼でノガレを追っている。やつは窃盗の容疑者だ」

「そうかい。それで?」

「居場所を教えてくれ」

「知らないね。盗まれるやつが間抜だと、あっしは思うがね」

「そうだな。だが盗まれたほうにも、復讐する権利がある」

「……殺しに行くのか?」

「いや。捕まえて官憲に渡すだけだ。俺の仕事はそれで終わりだ……今日はもう、一人殺した。これ以上は疲れる」

「誰をやったんだい?」

「知らん。襲ってきたから殺した。もうひとりは両足を切ったが、そのまま逃げていった。たいした根性だ」


 鎧に飛び散った血と、臭気の理由を店主は理解した。

 空になったカップに店主はもう一杯注いだ。コップの淵に当たった酒瓶が、わずかに揺れてかたかたと音を立てていた。


「教えるよ」


 イドリーブ市の南西にある池は、市民たちの憩いの場になっている。

 朝から夕方にかけて、ピクニックや散策におとずれる市民たちがいる。

 家族連れも珍しくはない。数時間ごとにパトロールする衛兵もいるので、反社会分子にとって居心地のいい場所ではなかった。


 湖のほど近くには、地権者のわからなくなった二階建ての廃墟がある。

 そこは夜になると無法者がたむろする危険地帯になっていたが、今では昼間から、得体の知れない人間がたむろしていた。


 アンゴザンは廃墟の近くに身をひそめて、出入りする人間を監視していた。

 廃墟は昔の邸宅で、大きな庭と、視界を遮る壁に囲まれていた。

 ただ、壁のいくつかは崩れていたので、視界は通っていた。


 庭には4、5人がたむろしていた。向かい合って剣闘をしていたり、別の場所ではたき火を起こして鍋をかけ、食事を作っていた。

 建物内に出入りする人数を換算すると、入れ替わった顔ぶれだけで15人はいた。

 おそらく庭にいる連中は見張りだろう。


 1昼夜監視し続けると、男たちの中に質屋から教えられた風貌にあっている男がいた。

 軽装備に身を包んだいかにも盗賊風の男だ。


 彼も集団のなかになじんでおり、ときどき、地面を囲んで賭け事に興じていた。

 単純な性格なのか、勝つと歓声をあげ、負けたときは立ちあがって地団太を踏んでいた。


 アンゴザンは2日間監視したが、ノガレがひとりになるタイミングがなかった。最低でも2人ずつで行動する。

 官憲の逮捕を恐れているというよりは、もっと別の目的があるように思える。


 監視しながら乾燥した果物を食べていたアンゴザンは、この奇妙な集団について判断しかねていた。


 全員が傭兵や冒険者くずれ、あるいはそれに近いならず者だったが、装備だけは衛兵に匹敵ほど充実している。

 集団で訓練をしているさまを見たが、どれもよく研がれた剣をもち、盾を切り裂くまで打ちあっていた。


 このように装備を消費する金満集団は珍しい。

 盾にしても鉄で縁取りされた丸盾、受け流しように作られた小盾、重量のある葉形盾まで何種類もある。

 それを惜しげもなく壊れるまで訓練に使っているなど、通常なら考えられない。


 このような連中にカネをかける理由がアンゴザンにはわからなかった。


 アンゴザンは5日間監視を続けた。

 かれらが小集団に分かれて出かけたときは、ノガレを誘拐する機会をさがして後を付けたが、市場で食料を注文して、そのまま戻った。

 宿にしけこんだりもしない。

 武具を消費し、訓練し、ひたすら何かを待っている。


 湖の近くで衛兵とすれ違った場面も見たが、お互いに反応せず、そのまま通り過ぎてゆく。

 明らかに衛兵は集団を知っていたが、気にも留めていない。


 ──犯罪者の集団とは違うのか?


 監視だけでは実態をつかめない。

 危険だが、直接接触するしかない。通りがかりをよそおい、ちかくで訓練を眺めた。


 体格のいいアンゴザンに見られていると知った男たちは、普段よりも激しく打ち合い、剣がかけ、盾の欠片が飛び散った。

 盾を砕かれた男が、膝をつき、指をあげて降伏のサインを出した。

 もうひとりが受け取って訓練が終わった。勝利した男がアンゴザンに話しかけてきた。


「貴殿、興味があるなら我々の訓練に参加してみぬか?」

「興味はある。しかしこれは何の集まりなんだ?」

「何、ただの傭兵と冒険者が、訓練しているだけよ。みなで高め合い、幻酔祭にある闘技大会で上位を狙っているのだ。貴殿はなかなかやりそうだ。どうだ、ひとつ我らとともに優勝を目指さぬか?」

「おもしろい。だが、今は魔物退治の依頼をうけている」


「そうか。終わってからでもよいぞ、顔を出してくれ」

「──盾を壊すほど、激しい訓練をしているのだな」

「そうとも。気前のいいスポンサーがいらっしゃる。優勝者を部下にしていると、ハクがつくからな」


 男はそう言って、離れていった。

 アンゴザンもその場を離れた。いちおうの目的は聞けた。闘技大会が目的なら、盗賊など入れるはずがないのだが、その点は不明なままだ。

 官憲にポーションの証拠を添えて通報しようとも考えたが、最終的に依頼主の判断を仰ごうと決めた。

 そうして、ニコラスの工房にやってきたのだった。



 アンゴザンが話し終わったあと、ニコラスは腕を組んで黙っていた。

 テラノヴァは脅迫を軸にした交渉に感心して、とても自分ではできないと思っていた。


「捕縛が依頼内容だったが、俺が犯罪者になる可能性がある。供を斬り殺して捕まれば、殺人で裁判にかけられる可能性がある。廃屋に忍び込むにも、見張りがいて難しい。以上だ」

「そうか……よくやってくれた。依頼書には成功として書いておく。それにしても、何で盗賊……ノガレという男は、そんな集団に入れたんだ?」

「わからん」

「どこか大店でも襲うつもりなのか……」

「衛兵は関知していない。あれだけ目立っているのだ、盗みが目的ではないだろう」

「うーむ」


 ニコラスは考え込んでしまった。ノエルが扉を開けて、飲み物を運んできた。アンゴザンは無言で受け取ると、なみなみと注がれた葡萄酒を見て、一気に飲み干した。


「それでは失礼する」

「あ、ああ、ご苦労さん。あんたのおかげで犯人が見つかってよかった。あとはこっちで何とかするよ」

「ああ」


 大柄な男が部屋を出ていくと、熱気まで去っていった。


「いったい何が目的なんだ」

「……」


 テラノヴァは答えられなかった。

 その目的は祭りの前日に判明した。


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