第277話 クライアントがキツすぎる件
湧き上がる真っ白な水蒸気を抜けて、再びドラゴンが姿を現した。
ドラゴンの頭部が光る。
「ブレスよっ、退避っ」
ミランダの声に弾かれるように、地下壕へ続くトンネルへ逃げ込み蓋をする。
轟っと地面が揺れて壁面がパラパラと崩れた。
「この分だとあと二、三回で崩れちまうんじゃないか?」
壁面と天井に走る亀裂にミランダを見る。
「持って1、2回ってかしら。どこまで抵抗するか、よね? レオちゃん、ドラゴンのダメージは?」
「わかんない。でも苛立っているよ」
「わかったわ。あと一回『雷撃』で攻撃したら退避しましょう」
とミランダが判断を下した時だ。
「聞き捨てならんな」
と甲高い声がする。
「なんの戦果も出ていないではないか? せめて前足の一本でも切り落として戦果を証明せねば顔が立たんぞ」
ブレードリヒだ。
「前足だぁ? どう見たって体長200メートルある上にブレス吐くんだぞ? 無茶言うなって」
全く分かってない――とため息をついたのはブレードリヒの方だった。
「良いか? 軍とは戦果を証明するものがなければ評価せんのだ。
少しは契約金の分くらい働きを見せてみろ。成果が出ねば金は払わぬぞ」
ふふんっと小馬鹿にしたように笑う。
ブチッと堪忍袋の尾が切れた。
「よーしわかったっ。このクソガキに現実を見せてやらぁ」
と掴みかかる俺にブレードリヒは
「
と鎧姿の腰から短刀を引き抜いた。
「うるせぇ」
左手で短刀の腹を軽く押さえ、逆の手で短刀を持つ手首を掴むと小指側から捻りあげる。
「な?!」
あっけないほど簡単に短刀は手放され、キンッと音を立てて転がった。
そのまま手をたぐり背中に回り込むと、腕を
「な、何をする?!」
「今からドラゴンを見せてやら」
暴れるブレードリヒを引きずって、外に連れ出そうとする俺をパカンッとレオが引っ叩いた。
「ショーカンッ、敵はドラゴンだよ。八つ当たりしないのっ」
もうって感じで腰に手を当てている。
「八つ当たりってお前……このままじゃ俺らがコイツのせいで全滅だぞ?」
ぷぅと膨れてレオを見返すと、ミランダが苦笑いしてる。
「ショーカン、
そう言われると黙るしかない。
「すまなかった……」
と大人しく腕を離した時。
『ゴォ――ッ』と蓋の奥から音がして、蓋が弾け飛んだ。
「ブレスよっ」
ミランダの悲鳴ともにトンネルが揺れて、天井が崩れてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます