第七十四話:訣別する友情
※※ 74 ※※
「きっと平日のラッシュ時間に比べれば……
電車の
(少しゆっくりし
俺は今さらながら後悔した。遅い昼食の上に灼と
「
「なんとか……ね。どうせ、もうすぐ着くでしょう」
小さい身体で心身ともに
「ああ、もうすぐだ」
俺は
《いつも東武アーバンパークラインをご利用いただきまして、ありがとうございました。間もなく終点柏……柏に到着です。お出口は右側です》
俺と灼は駅のホームに立ち、人の流れに
「バスにはまだ時間があるな」
俺と灼は雑踏の流れから
「さて、と。スーパーに買い物へ行くわよ。
さっぱりした笑顔で振り向いた。
「うーん……昨日はラーメンだったし。和食が良いけど、魚って気分じゃないな」
俺は小首を
渡って少しの場所『
「今日、何か安くなってるといいけど……」
誰に言うわけでもなく
「よ、……よう。久しぶり」
正面に立ち尽くす少年――
「富樫。奇遇だな」
彼の姿を認めた俺は明るい口調で声をかけた。しかし灼は答えず、
「ちょ、ちょっと待ってくれッ」
俺を押し出す手を止め、灼は大きな栗色の瞳に拒絶の色を
「平良。お前とは
多目的商業施設一階フロア―、入り口付近にある
数分後、俺と灼、富樫の三人は向かい合ってボックス席に座っていた。
俺と灼の前にはロイヤルミルクティー、富樫の前にはブレンドが
「呼び止めたお
「いらない。晩ごはん前だし……
周囲は誰もが自分たちの趣味や興味で
「相変わらずだな、双月ちゃんは」
富樫はブレンドに異なる苦さと笑いを混ぜて
「で……その何だ。話の事なんだが……平良、お前にだな……」
しかし言う内に探していた言葉が見つからず、ついには語尾を小さく
「平良。お前、本当に『部室整理令』を――
「ああ」
俺は短く答えて正面から向き合った。対する富樫は悲しむような怒るような表情で首を
「『部室整理令』が出た時、俺たち一緒に反抗したじゃないか。お前たちの部長や四字熟語、オザキちゃんと
生徒会に向けられた
「平良……。
不安と不満が
「もう何を言っても無駄なんだな。それほどの覚悟があるってことか……」
「何がお前をそんなに変えたんだ? まさか『
俺も軽い口調で返す。
「さあ、どうだろうな」
今まで
「俺だって最初は生徒会の横暴に腹を立ててた。でも『
「言ってる意味は分からないが、とにかくお前が決めたことなら仕方ない。だったら俺とお前は戦うことになる」
「戦う?」
富樫の強い言葉に、俺は
「ああ、俺はやはり『部室整理令』で人を
と、衝動的に富樫は言葉を続ける。
「確かに今の部室棟が無法地帯だって事は俺も理解してる。お前たちが新部室棟を新築して生徒会の管理の
言い終えた富樫の
「……すまん。俺はお前の応援は出来ない」
「ふふふ。富樫に
すっかり付添人となっていた灼は嬉しそうに俺を
「まあ、あいつも色々と考えてたということだな。でも俺は負けてないからな」
「はいはい」
「富樫の背後には藤川先輩に高橋先輩や『部室整理令』に反対の部が
急に灼が
「あんたたちの会話、
「俺が『文明開化』で出世したものの
「まあ『部室整理令』で新秩序を作り上げるのも、今まで通りにその時々の有力の部に秩序の安定を
俺は灼の理知の強さに感服しつつ、恥ずかしさと照れ臭さが
「――『そう聞けばなるほど尤もだ。
灼は少し
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