架空の帝都を舞台に、常人離れした知覚速度を持つ公爵家の三男・孝晴と、彼に命を救われた無表情な警兵・麟太郎の絆を描く群像劇だ。一見自堕落な「書庫番」である孝晴が、膨大な書類から陰謀を読み解き、人知れず解決する様がハードボイルドに綴られる。また、凄絶な出自を持つ軍医や隠密部隊の男、冷徹な兄といった周囲の人物の過去と思惑が重層的に交錯し、華やかな文明開化の裏側にある「業」が深掘りされている。
和洋折衷な世界観でのバディものや深い主従関係を好む者。「異能を持つがゆえの孤独」というテーマに惹かれる者におすすめできる。