第27話



 「おいッ!まだか!?」


 「待てって!」



 ゲートを安定させるには時間がかかる。


 何せ急いでこじ開けたんだ。


 正式に開けるには印を結び直さなきゃいけない。


 ただ、問題が1つあってだな…



 シュッ



 大きく振りかぶった一撃。


 回転するカマが、遠心力の曲線の内側に疾る。


 グンッと圧縮される時間。


 伸び上がる重心。




 ガッ




 ガードごと外に押し出されてしまった。


 勢いのままにブロック塀に激突する。


 ボロいせいで、衝突と同時に粉々に崩れてしまった。


 敵はふわりと宙に舞い、体勢を崩したクルルの頭上に浮上する。


 不敵な笑みの奥に垣間見える白い歯。


 三日月のように滑らかな曲線を持つ、——刀身。




 「逆巻け、——蒼白の呪法(コールド・フレア)」




 灼けつくような霊力が、肌に触れる。


 チリッと空気が凍りつき、咽び上がる鼓動。


 病院。


 その“方角”だった。


 異様な気配が、視界の隅に掠めたのは。

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