カウンター
「30なってお互い結婚出来なかったら私で妥協しとく?」
酔ったフリして元彼に言った台詞。
あいつはなんて返したんだっけ?
全然覚えてねえや
今の彼氏に申し訳なくて連絡先消しちゃった
でも、たまにお前と飲みたくなるよ
あの薄暗いバーで2人カウンター席に座って
恋だの仕事だのうだうだ話すのは
存外楽しかったんだ
付き合った時は恋人として好きだったわけじゃない
好きだった女とおまえがよりを戻して欲しくなかった
だからお前と付き合った
1ヶ月付き合ったっけ?
居心地は悪かった
好きな女がいるのに男のお前と付き合うのは変だってわかってたし、お前に絆されそうになってたのも嫌だった
おまえにかわいいだとか、名前で呼ばれるだとか、手を繋ぐだとか、悪くないと思ってる私がいた
付き合い始めた理由が理由だ
罪悪感がうまれた
私はひねくれているけどそんな私が罪悪感を抱くくらいにはおまえに絆されてた
ほんとおまえは人たらしだよ
だから手放した、別れて欲しいって。
もう永遠に仲良くはなれないと思ってた
でもなんだかんだ友達のような立ち位置に戻してくれた
飲みに行ったり何故か旅行したり
変な関係って思ってた
でも嫌ではちっともなかったんだ
別れた手前二度と付き合うことは無いと思ってたけど利害の一致でお前と一緒にいる未来もあるのかもなんて馬鹿げた話もしたね
まあそんな未来は実際なかったんだけど
なんとなくおまえのこと思い出しちゃっただけなんだけど、素敵な人と出会って結婚して親に孫見せてやれよ
世間一般でいう幸せな家庭をおまえが誰かと築けてたらなって思うよ
もしまたあのカウンターで偶然話すことがあったら私なんて入り込む隙がないくらいの幸せな話を聞かせてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます