第13話
浅井side
それからレッスンをサボり続けていた俺は絵のコンテスト前、最後のレッスンもサボりふらふらとしながら街を歩いていると三木と会った。
凸「うぃ~す。」
M「おぅ。どこ行くんだ?」
凸「散歩。」
M「駅前にさ?美味しいケーキ屋できたから一緒に行かねぇ?」
凸「デートかよ。」
なんて言いながら俺たちはダラダラと歩き駅前に向かう。
駅前に出来た可愛いケーキ屋はオープンしたてという事で、かなりの行列が出来ていてそれを見た俺はげんなりとする。
凸「さすがに野郎2人であれに並ぶつもりじゃねぇよな?」
M「しょうがねぇ…今日のとこは諦めてやるか。」
三木がそう言い俺が歩き出そうとすると突然、三木が俺の腕を引っ張った。
凸「痛ぇな…ぁんだよ…」
M「あれ…佐々木じゃねぇ?」
三木が俺より高い背を縮こめてそう言った先を見てみると、そこには間違いなく俺の天敵でもある佐々木がそこにいた。
凸「誰だよ…あの女…」
月島先生と付き合っているはずの佐々木の横にはどう見ても高校生くらいの女がいて、その女は胸焼けするとほどぶりっ子をしながら佐々木と手を繋いで寄り添っている。
凸「お前たしか…月島先生とあいつが付き合ってるって言ってたよな?あれなんだ?」
俺たちは佐々木に見つからないように身をひそめながら三木をそう問い詰めると、三木は焦っているのか額から汗が大量に噴き出している。
M「い…言った。でも、それは噂でもなくマジなんだって!ウチの兄貴が佐々木と月島先生と大学の先輩後輩で久しぶりの飲み会の時にそう言ってたって!!」
三木のその言葉を聞いた俺は頭に一気に血が昇る。
凸「まさか…あいつ…月島先生という人がいながら…浮気か?それともパパ活か?」
思わず殴り込みに行こうとする俺を三木が必死になって止め、俺は自分よりでかい三木に捕まえられた。
M「落ち着け!!あれだけじゃなにも分かんないだろ?」
凸「俺のボーダーラインではアレは浮気なんだよ!!」
M「ただの女友達かもしれないし、妹かもしれないじゃん!」
凸「お前は女友達や妹と手を繋いで突き合うのかよ!オマケに教師の女友達がどっからどう見ても女子高生って頭湧いてんのか!?」
M「あぁーーーもう!落ち着けって!!」
三木は暴れる俺を抱えたままその場を離れ、公園まで連れて行く。
平均よりでかい体格をした現役高校生のそんな光景をみた周りの人達は何事かと注目の的だ。
公園に着くなり三木は俺を解放し、またアイツの元に殴り込みに行こうとする俺の首根っこを掴みため息を落とす。
M「そのすぐカッとなる性格直せって。ってか、お前さ?ずっと絵のレッスンサボってんじゃん?月島先生のこと諦めたんじゃねぇの?」
三木の言葉によって少し落ち着きを取り戻し始めた俺は、ベンチに座る三木の横に仕方なく並ぶように腰をかけた。
凸「諦めるも何も好きじゃねぇし。」
M「よく言うよ。」
好きと認めてしまえば恋人のいる月島先生に失恋したと三木にバレてしまいカッコ悪いと思った俺の最大限の強がりだった。
M「いつも人の事に関してドライなお前があそこまで熱くなるのは月島先生が特別な人だからだろう?明日から泊まりがけで行くコンテスト…どうすんだよ。また、ブッチするのか?」
凸「…分かんねぇ…月島先生に会いたいけど顔見たら胸が抉られて痛いだろうし…そんな状況で絵なんて描ける自信ねぇし…俺だってどうすればいいのか分かんねぇんだよ…」
初めて口にした月島先生への想いを認める言葉とその弱気な言葉に、自分でもこんなに月島先生のことが俺は好きになってしまっていたんだなと自覚した。
すると、横にいる三木はどうしようもない親友だと言わんばかりに大きなため息を落とし、灼熱のような夏空を見上げる。
M「行け。」
凸「ぁん?」
M「明日のコンテスト…絶対行け。じゃなきゃお前は絶対、この先後悔する。だから絶対に行けよ!?行かなきゃ俺たち絶交だからな!!」
三木はそう言うと俺を1人置いて颯爽と帰っていった。
ベンチに座っているだけで汗がジワッと滲みあまりの暑さに頭がクラクラとする。
俺もゆっくりと立ち上がり、はぁ…と小さなため息を落とすとそのまま家へと帰った。
つづく
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