第2話 飛んでた? 幼少転落時代

 シゲルくん、小学校低学年あたりの記憶から「落ちた~」を呼び戻してみました。


エピソード①

 先ずは自宅の庭先にビワの木があったころ、毎年袋がけの手伝いをして熟してから美味しく食べていたのです。昭和30年代後半、田舎の子供にとってのオヤツ、いやオヤツという感覚ではなく捕食でありました。ごま柿やビワ、みかんなどの果物は本当に貴重であり、裏山のヤマモモの実や野イチゴなんかも、季節のおりおりに仲間同士で助け合いながら採って食べていたのです。

 そのビワの木の下で、大きな石に腰かけて遊んでいる時にバランスをくずして、2mほど下に落ちシゲルくんは瞬間に気を失ってしまったようですが、大きなケガもせずに友達に助けられ、目覚めたら布団に寝かされておりましたとさ。


エピソード②

 そのころ、白黒だけどテレビジョンなるものが、金持ちの家から普及し始めて、金曜の夜8時には上級生に連れられて、みんなで力道山やデストロイヤーのプロレスを見せてもらいに500mほど離れてる隣村まで行っていたのです。それから徐々に普通の家庭にも14型くらいの4本足のテレビが普及し、見ないときには何故なのか画面に専用のたれ幕を下ろしていたのを覚えています。

 その時代のヒーローは、月光仮面や隠密剣士、鞍馬天狗などのチャンバラごっこでした。買い物の際は、レジ袋などはもちろん無くて何にでも万能の風呂敷で用は足せていたのですが、子供らはそれを首に巻いてマントみたいにして遊んでいたのです。

 シゲルくん、近所の仲間と月光仮面の真似事遊びしていて、このときもやはりグラグラする石に乗ってしまい岩だらけの水路に転落して頭に出血するけが負ったのですが、大工現場から呼び戻された父親が運転するバイクにまたがり病院行きとなり、4針も縫合する羽目になったのでした。この傷は爺さんの今でも禿げとなって残り、つむじの横に鎮座しているとの事です。


エピソード③

 昔の遊びと言えば、ゲームやテーマパークなどは皆無で街中まちなかや公園にも出かけることは全くなく、裏山に隠れ家を造ったり川遊びであったのです。

 ごくまれではあったのですが甘いハチミツをとって舐める目的で、山の斜面などに巣づくりしていたスズメバチの巣を取りに行ったとき、3~4人がハチに刺され、ただ一人落ちる羽目になったことが有ったのですが、この時は幸いに落ちた場所が柔らかい畑だったのでケガはしなかったですね。


 たぶんに「アッ、落ちる~」と気づいた時点で気を失ってるので、小さい体が軟体動物みたいになって衝撃を和らげてたのだと感じます。

 

 

 

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