まず最初にお伝えしたいのは、「可愛い」と「シリアス」がここまで綺麗に共存している作品、なかなかないということなんです。
物語は、無垢でどこか不思議な少年ラティムと、心優しい少女リリーを中心に進んでいきます。
この二人のやり取りがとにかく微笑ましくて、読んでいて自然と頬が緩むんです。
……なのですが。
物語が進むにつれて、世界の裏側にある重たい設定や、不穏な気配がじわじわと浮かび上がってきます。
この「ほのぼの」と「不穏」の温度差が絶妙で、気づけばどんどんページをめくってしまいます。
特に印象的なのは、力を持つことの意味や、それに翻弄される運命の描き方です。
ただのバトルファンタジーではなく、キャラクター一人ひとりの選択や感情にしっかり焦点が当てられていて、読後に余韻が残るタイプの作品です。
また、ドラゴンや魔導技術といった王道ファンタジー要素も魅力的ですが、それらがしっかり世界観に組み込まれているため、設定好きの方にもかなり刺さると思います。
そして何より……ラティムという存在の正体に関わる展開は必見です。
ネタバレは控えますが、「そう来るか!」と唸らされること間違いなしです!