間違えて恋愛小説を開いてしまったかと思うような、今時珍しいくらい純な大学生カップルの夏祭りデートから事態は一変、殺人事件が勃発する。
残された手掛かりは、殺害される直前に書かれた一行日記の不可解な文章のみ。
読み返してみると、至るところに伏線やヒント(中にはほとんど答えの言っていいものまで!)が転がっているのだが、見落としや主人公の思い込み混じりの推理に引っ張られ、なかなか答えに辿り着けない。
思い込みと注意力の欠如こそが推理を妨げる最大の敵だということを思い出させてくれる、短編ミステリの傑作。
読了後は是非、本編を読み返すだけでなく第5話のタイトルと作品紹介の最後の一文までご覧いただきたい。
そう、この時間はある意味では序章に過ぎないのだ。
僕こと、堀北晴が同じ大学、同じサークルのメンバーでダブルデートをしているところから物語は始まる。
本作がミステリだということを忘れてしまうほどに自然なキャラクター、自然な会話、自然な描写。読み進めていくごとに、作中の中に没入するような感覚を最初は覚える。
しかし、物語が進むにつれ、展開は本格的なミステリになっていく。
『僕』は、とある日記を見つけた。
それは密室で殺害された彼女が、死亡推定日に書いたとされる日記が、翌日の内容を記していたからだ。それは一体、どういうことなのか——というようなお話でした。
いやー、すごいです。語彙力のない私には説明することができないのですが、物語序盤の展開が自然で微笑ましいだけでなく、中盤からはミステリとしてインパクトのある謎がある。それがすごいと思いました。
書かれた謎に対して、真実は納得感のないような解決。そんな小説は世の中にいくつもあると思いますが、本作は違いました。
しっかりと謎を解決するための伏線が作中に散りばめられており、読み終えたときには深い納得と余韻に、言葉が見つかりませんでした。
とても納得感のある、面白いミステリでした。ぜひ、ぜひご一読ください。
不可解としか言いようがない一行日記の内容。
がしかし、その内容の矛盾こそが同時に謎を解くカギにもなっています。
矛盾を解くための手がかりは堂々と提示されていますし、その矛盾の解答に至る流れも、そこから犯行手段や犯人を特定していく流れも実に理路整然としています。
よって、凶器の完全な特定は困難だとしても、それ以外の真相は読者にも見破れるように構成されているということです。
数々の丁寧な伏線をたどって、この謎解きに挑戦されてはいかかでしょうか。
そして、謎解きが終わって物語が閉じるのではなく、さらなる広がりを見せていくラストは、序盤のほのぼのとした雰囲気と相まって深い余韻を残します。
ぜひご一読ください‼