第27話 南海トラフの20~90%の件について

 南海トラフ大地震の発生確率が、30年以内に80%から、60%から90%または20%から50%となりました。なんじゃそりゃあという話ですね。発表された内容にちゃんと書いてあったか不明ですが、過去の論争からいって以下の通りだと思います。


 60%から90%の説は、高知県の港町の隆起量データが江戸時代から記録されていて、一定の隆起になると南海トラフがきて隆起が下がるというモデルです。これによると2035年に発生確率が一番高くなります。よって高い数字になっています。


 20%から50%は、過去の南海トラフ地震の発生間隔が、100年から150年、1944年、46年から、125年で大体2070年くらいになるのだろうという計算で出したモデルでしょう。場合によっては200年というケースもあるので、ひょっとしらたもう少し後を想定しているかもしれません。


 この2つの説が地震関係の学会で議論になっているようで、80%という説に不満がある人がいた、という話は聞いていました。隆起量のモデルは京大、発生間隔のモデルが東大を中心としているという学校の派閥もあるような話も聞きます。噂ですけどね。


 で、今回の唐突な発表はわけがわかりません。これを聞いて一番初めに思うことは、じゃあ何を信じればいいの?という話です。

 これは実は簡単な話で、防災ですからリスクが一番大きいのを考えればいいのです。2035年に起きる。30年以内に90%。これを前提にした防災モデルを作るのが正しいのです。起きてしまえば、大きな被害がでるのです。


 今回の件の最大の過ちは、学会でのメカニズムの論争を、メンツなのか利得なのか知りませんが、防災計画の前提としての地震予測として発表してしまったことです。学会での言い分がどうかしりませんが、国民の税金でやっている国立大学の教授の考えは、まず、国を守るということでなければいけません。いや、税金うんぬんとは別に、大人の見識として学会と防災を分けて考えるべきです。南海トラフ対策を10年で完成させるという軸にブレがあってはいけません。したがって、わかりやすく、混乱を招かないことが一番大事なのです。


 学会での論争はやってもらって結構です。真実の探求をするのが科学者でしょうから。しかし、防災計画の発表とセットにしてはいけません。



 なお、別の説として、西日本の内陸型の地震が活発化してから50年で南海トラフという説があります。これも経験的に記録と符合するようです。となると、西日本で地震が活発化といえば、阪神淡路大震災ですね。1995年です。つまり、+50年。2045年が結構危ないのかな、という気がします。そして、これは南海トラフの基本周期100年周期とも一致します。


 とにかく、学会の思惑はどうでもいいので、わかりやすく、リスク中心に発表してほしいです。ちょっと関西電力のオール原発化の発表のすぐあとなので、変な思惑がないかも心配ですけどね。





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