国境警備隊

 トキソ国の国境を警備するために、部隊がいくつかに分かれて置かれていた。その一つ、大国のラジア公国と接する場所にも警備隊がおり、その隊長はマスカだった。彼は一兵卒からのたたき上げで、歴戦の勇士だった。彼はこの国を守ろうと巡回などの任務に励み、日々、部隊の鍛錬を怠らなかった。


 しかしマスカの努力にかかわらず、何者かに国境近くの村を襲われる事件が頻発していた。しかも手口が荒っぽく、大きな被害を出していた。王宮に何度も使いを出したが、何の対策も取ってもらえないどころか、その返答もなかった。


(以前にもまして国が乱れている。王宮に何か問題が・・・)


 民は貧しさに苦しみ、山賊がはびこって村が襲われている。マスカの目から見て、まつりごとがうまくなされず、国が乱れているように見えた。

 ここからでは王宮内部のことはわからないが、新しい王様が来てから何かおかしくなっている。しかも先の王から仕えている重臣のドラス前大臣を処罰したとか・・・彼は王宮に不信感を抱いていた。


 その彼にある時、メカラス連邦の評議会の有力者からと言って極秘の書状が届けた者がいた。その者は黒布で顔を隠し、黒ずくめの服装をしていた。にわかに信用できなかったが、念のために会うことにした。するとその使者の男は


「これを・・・」


 と余計なことを何一つ言わずに、書状を差し出した。マスカはそれを受け取って差出人を見た。


「これはハークレイ法師様からの書状!」


 マスカは驚いた。トキソ国の国境警備隊の一隊長の自分にこのような者が送られてくるとは・・・。彼はすぐに広げて中を見た。するとその中には恐るべきことが書かれていた。


「これは!」


 マスカは驚愕して震えた。それは思いもしなかった。王様はまつりごとを私化し、そのために陰謀が王宮内で繰り広げられている。このままではこの国は亡びる・・・。ハークレイ法師は彼に決起するように求めていた。愛国心に燃える彼は固く心に決めた。


「この国のため、そしてここに暮らす民のため私は立ち上がる!」


 それを聞いて使者の男はうなずいた。


「ハークレイ法師様はあなたを頼りにされております。ご指示に従って動いていただければ・・・」

「あいわかった。ハークレイ法師様にはよしなにお伝えください。不肖、このマスカがきっとお役に立って見せます。この国、いやメカラス連邦のために。」


 マスカは胸をドンと叩いて見せた。それを見て使者の男は誰にも気づかれぬようにニヤリと笑った。その笑い方はあのカイアミに似ていた。

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