母の臓器、父の決断――。前半は決して軽くない。
「理人、あなたは、母の愛と父の過ちの間で生きているの」
という言葉も、本来は感動的であるはずなのに、どこか呪いのような重さを持って響く。
しかし、この重さこそが作品の引力だったのかもしれない。
読んでいるうちに、「この重さはどう回収されるのか?」という興味に変わりました。
オーパーツ、医療、アンドロイドといった要素の組み合わせは珍しく、最初はイメージしづらい部分もあります。ですが、それぞれの境界に明確な意図が感じられます。読み込むほどに味があり、独自の世界観が伝わってきます。
こういった作品は見方を変えれば、
「新しい世界に案内してくれる貴重な作品」とも言えると思います。
そして物語はミヤビとの出会いによる"宿命"へと進むかと思いきや、アレクサンダー医師と杏の関係、そして"最後の願い"へ。
この展開によって、前半で感じた重さが、上手く収束していきます。
展開自体は王道の流れをベースにしながらも、内側にあるテーマと組み合わせの独自性によって、不思議な引力を持った作品でした。
私事ですが、私も混合ジャンルばかり書くので、
少し自分事のようにも感じて真剣に目を通しました(笑)
有難い読書体験をさせていただき、とても勉強になりました 🐱📚✒。
私にとってのSFといえば、遠い、遠い宇宙のどこか、今の時代ではない遠い未来というイメージが強いです。
本作は近未来SF文芸シリーズ(視窓のリメイク)のスピンオフ作品。
しっかりとした描写と設定は読み応えがあります。
SFというフィルターを通してはいますが、死について、生きることについて、生きる意味について、親が子に託す想い、夫の想い、妻の想い……と様々な視点から様々なメッセージを読み取ることができました。
それは決して遠い世界の話ではなく、自分のすぐ側に存在する、いずれ直面するであろう人として目を背けてはいけない問題だと……私は感じました。
「存在の究極の問いに至る旅」
登場人物だけでなく、読者もそこに至るのではないか……とこのキャッチコピーを見て思いました。