実にアンニュイと言いますか、斜に構えてて達観気味な、それでいて青さも感じる主人公。
そんな彼女なので、人生観もどこか苦みに満ちていて、明るさや夢や希望といった前向きな方向とは無縁な雰囲気を漂わせています。
そんな彼女の絞り出す相談の答えも、捻くれてて、一筋縄ではいきません。
ときに痛みを伴うような言葉で鋭く刺したりもします。
でも、それも人生ですからね、酸いも甘いも、苦味もあります。
そして、持ち寄られる相談だって軽いものから重いものまで、さまざまで、色んな味わいが感じられます。
ただ、苦味というか、不快なものであるからこそ、重く強烈に自分の中に響き、印象に残ります。
そして、響くものだからこそ、彼女の答えを聞いた後は、ふぅっと少し気が晴れるのかもしれません。
そう、「少し気が晴れる」。
カラッと万事解決で爽快、というわけではありません。
でもそれくらいで丁度いいのかもしれません。
ちなみに私はブラックコーヒーが飲めません。
砂糖10g入れたダダ甘コーヒーを飲みながら本作品を読みました。
折角ですので、皆様もコーヒーを飲みながらご覧ください。
本作品は、一見地味な女子高生・黒野豆子が、缶コーヒーを通じてクラスメイトや先生からの相談に乗ることから始まる物語です。
作者は、人々の悩みや葛藤を通して、人生の甘くない現実をリアルに描き出します。
物語は、豆子のキャラクターを中心に展開し、彼女の人生観や価値観が徐々に読者に明らかにされていきます。
起点は、豆子の日常と彼女が抱えるコンプレックスから。
色々な人から相談を受けることで、豆子自身も自己受容と成長の過程を経ていきます。
物語は、彼女の周りの人々の様々な人生模様も織り交ぜながら、転機を迎えます。
風見紀子の登場と彼女の恋愛話は、物語に新たな風を吹き込み、豆子の人間関係にも変化をもたらします。
物語は、人生の甘くない現実に直面しながらも、人々がそれぞれの幸せを見つけていく様子を丁寧に描き出しています。
登場人物たちの心情の変化がリアルに描かれ、読者自身も自分の人生と向き合うきっかけを得られるでしょう。
また、缶コーヒーという身近なアイテムを通じて、人と人との心の距離を縮める力が描かれており、温かみのある物語です。
この作品は、苦い現実を受け入れながらも、人生の小さな幸せを見つけ出そうとする人々の姿を描いた、心温まる物語です。
読後感は、まるで一杯のブラックコーヒーを飲み終えた後のような、苦味の中にも感じる甘さのようなものがあります。
人生の様々な味わいを感じさせてくれる、読む価値のある一冊です。
黒豆……いや、黒野豆子さんは、どんな悩みも相談に乗ってくれるちょっとクールで大人な高校二年の女の子。
毎日のように誰かが彼女を訪ねては相談ごとをしてきます。
こんな悩みも?と思うことでも彼女の手にかかればいつの間にか見事に解決しています。
読めばきっとあなたも放課後の二年二組の教室を訪ねてみたくなるはず……。
缶コーヒー、一本持って訪ねてみてはいかがですか?
(注…相談場所は二年二組とは限りません)
黒野豆子さんの虜になること間違いなしです。
著者の描かれる鮮やかなタヌキング様ワールドにすっかりハマってしまった私です。
兎にも角にも必見です。