第7話



「おいおい、なんだその斬れ味はよ」

 

 侍大将さむらいだいしょうこまの持つ太刀を見つめる。こまも眼前まで持って来て刀身を眺めていた。

 

「・・・・・・さっき胴丸どうまるも斬れたんだよな」

 

 二人は青江あおえの太刀の斬れ味に暫し魅了されていた。暫くして外から嗚咽とすすり泣く声が聞こえだす。二人は顔を見合わせ女達を忘れていた事を思い出した。

 慌てて外に出るこま侍大将さむらいだいしょうこま侍大将さむらいだいしょうに洞窟の中を調べるように言い女達の介抱へと向かう。


「なんだよ、一人だけ良い思いをしようとしやがって」

 

 侍大将さむらいだいしょうがぼやく。こまは【自分の身体をよく見ろ】とだけ言って外に出る。侍大将さむらいだいしょうは統領の首を取り洞窟の奥へと入っていった。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

「皆、無事か?」

 

 こまが女達を一カ所に集める。当然檻の中の女達も解放してあり、村から依頼されてきたと言ってある。女達は怯えており、こまはとりあえずなだすかしていた。


「おぅい、こま。すげえぞ」

 

 侍大将さむらいだいしょう長刀なぎなたを持つ手に統領の首を下げ、逆の手に一抱えもある壺を抱えて洞窟から出てきた。女達が悲鳴を上げる。中には気をる者までいた。


「あのなぁ、もう少し考えて行動しろよ・・・・・・」

 

 こま侍大将さむらいだいしょうを仲間だと言い、気を遣った女を視る。

 

「ん? ああ、これか・・・・・・」

 

 野伏のぶせりの頭領の首を持ち上げた侍大将さむらいだいしょうは、比較的気丈そうな女に声をかけ大きな布を持ってくるように伝える。女はすぐに掘っ立て小屋に入り布を持って来た。侍大将さむらいだいしょうは器用に首を包み長刀なぎなたの先に括り付ける。


「で、その壺は?」

 

 こまは女の介抱を別の女に任せ壺をのぞき込んだ。中には銭が大量に入っている。それに銭だけでは無く金や銀までもが入っていた。


「・・・・・・よっぽどため込んでいたか? まだあるのか?」

 

 侍大将さむらいだいしょうは頷き、微妙な表情で短刀を差し出してきた。こまは短刀を受け取り篝火かがりびの下で短刀を視る。

 

「あん、この家紋は・・・・・・」

 

 短刀の柄に刻まれた三つ盛亀甲に花菱みつもりきっこうにはなびしの紋。浅井家の家紋だ。

 

「ただの野伏のぶせりでは無いと言うことだな。ここまで入り込んでいたか・・・・・・。草では対応できない訳だ」


「そうだな。帰ったらいくさ支度を急がねばな」

 

 そのやり取りに女達が不安そうな表情を浮かべる。

 

「まあ、くさを領地全土に放ってからだな。もう少し調べないとこれだけでは決めつけれぬよ」

 

 こまは壺の中の銭を取り出してみる。女達もこまの肩越しに壺をのぞき込んでいた。

 

「俺は馬を取ってくる」

 

 侍大将さむらいだいしょうは女達の様子に苦笑しながら女の一人を連れ、野伏のぶせり達の使っていた馬を取りに行った。


「さあて、持ち帰れる物を取ったらすぐに村へ帰ろう。他の村の女達は後日送って貰うように手配するからな」


 女達は夜とはいえすぐに戻ることが出来ると聞いてほっとした表情を浮かべるのであった。 

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