切り裂きキャンバス
夜澄まつりか
プロローグ 春の表彰会
プロローグ 春の表彰会
長い長い校長先生の話がようやく終わった。けれど集会はまだ終わらないらしく、全校集会の最後には表彰会があるらしい。まったく退屈だ。
「では、続きましては表彰会に移ります。下を向いている生徒は顔を上げるように。」
司会役の教員はそう言うと、続けて今回表彰される部活の名前と代表者の名前を読み上げる。呼ばれた三名の生徒は一人一人ステージに登壇し、全校生徒が座っている正面を向いた。一人目に、短髪で日に焼けた如何にもスポーツマンといった男子生徒が、教員からマイクを渡されて話をはじめる。
「こんにちは、サッカー部です。先月行われた予選大会で優勝し、県大会に出場することが決まりました。激戦の予選大会を勝ち上がれたのは顧問の先生によるご指導と、チーム一丸となって努力してきた日々の練習の賜物だと思っています。県大会はあくまでも通過点であり我々は全国大会出場を目指しているので、またここに良い結果を持って来れるように頑張りたいと思います。」
パチパチパチパチパチパチ。他のサッカー部員だろうか、そこら中から大きな拍手が聞こえてくる。ここ、
次に、立ち姿がどこか上品で背の高い男子生徒がマイクを譲り受けて話をはじめる。
「本日はこのような時間を設けてくださりありがとうございます。我々弓道部は先月行われた大会にて団体戦で男子1位、女子2位の成績を獲得しました。引き続き応援いただけると幸いです。」
パチパチパチパチ。一つ前に比べて拍手が小さい。ついさっきまで熱心に拍手をしていたサッカー部員はどこへいってしまったのだろうか。弓道部の代表の男子生徒はそんな事は一切気にしていない様子だった。
最後にマイクを持ったのは小柄で茶系の明るい髪色をした女子生徒。隣に弓道部の背の高い男子生徒がいるため、より小柄に見える。肩までかかる髪を揺らしながら一礼し、話をはじめる。
「こんにちは!先日開催されたコンクールで最優秀賞をいただきました。私の描いた絵よりも素敵な作品があった中で、私の作品が選ばれたのは偶然だったんだろうと思うんですが、とりあえずは嬉しい気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!」
パチパチパチ。笑顔が印象的で、髪色同様に性格も明るいだろうことがわかる。後日、校舎に彼女の作品が展示されることが教員から補足された。
「では、以上を持って全校集会を終了いたします。」
長い長い集会がようやく終わった。今日はポンデリング買って帰ろうかな。
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