舞うは花、咲くは想い。遅めの春が、やって来る
- ★★★ Excellent!!!
朝廷側の軍指揮官として、最前線にて蝦夷の軍勢と戦う益荒男・真比登。
戦場では鬼神の如き強さを誇る彼に、一つの縁談話が持ち上がる。
けれども、真比登は恋には奥手なタイプ。その上疱瘡持ちということもあり、自らに対して強い劣等感や嫌悪感を抱いていた。
更に追い討ちをかけるように、縁談の相手として持ち上がった奈良の都帰りのご令嬢・佐久良売が、どうやら一筋縄ではいかないお相手のようで──
というのも佐久良売嬢。珠の如く清らかなる美貌とは裏腹に、四度の縁談を全てその場で破談にしたという武勇伝が伝わる、烈火の如く激しい気性の持ち主だったのである。
二十八歳の真比登と、二十三歳の佐久良売。まるで極北の地に訪れる春にも似た、遅い遅い青春と恋の物語。多くのすれ違いを経験しながらも、二人はゆっくりと着実に互いの気持ちに気付いてゆく。
一進一退の二人の恋路。もどかしくも、何処か愛おしい、そんな彼らの恋模様。読めばきっと、その恋路を応援したくなること間違いなし。
奈良時代を舞台にした、ラブロマンスの傑作。