2003年5月大台ヶ原
19日夜、夜行バスで移動。10年ぶりくらいに、大台ヶ原を訪れた。
2〜3日前から天候がイマイチ良くなくて、20日の大台ヶ原は、雨が降ったり晴れ間がチラと顔を見せたりと、くるくる空模様が変わる。日本で一番雨の多い所と言われる大台ヶ原で、初めて雨に振られた。土砂降りでなく、しのつく程度の為、西大台を一周し、東大台の西半分を歩く。
西大台では人っこ1人見かけず、鹿を5〜6頭見るくらいだった。霧がふわりと立ち込めると、木々の間から木霊や妖精がそっと現れてきそうで、胸がどきどきする。駐車場にそれなりの数いた人々は東大台のさわりしか歩かないのだろうか。
小処温泉まで下ろうかと考えていたが、思い直して明日のご来光が見えるやもと、駐車場まで戻る。山の家で泊まろうと来てみると、閉まっている。土日祝日や夏シーズンしか開けないのかな。引き返すのも嫌で、そのままシオカラ谷まで下り、しゃくなげの咲く坂まで行く。折よく夕日が射し、しゃくなげがほんのり赫やいで見えた。
それにしても、東大台に鹿が前より増えた気がする。夕暮れ時でもあるせいか、あちこちで鹿の群れが笹を食べている。 チッチと舌打ちすると逃げていく足が止まり、不思議そうにこっちを見やる。40頭は数えたろうか。東大台もくるり一周…と考えていたが、雷がゴロゴロしだし、日之出ケ岳はパス。暮れてゆく中、19時頃大台山荘着。朝食付き大部屋利用。簡単な食事を摂り、翌朝3時半にアラームをかけてさっさと就寝。
21日朝3時半起床。防寒とおやつの用意をして歩き始める。半月が空に輝き、辺りはそれなりに明るい。月光で山道を辿ることが出来るくらいだ。月光に浮き浮きしながら歩いていたが、他人のライトが邪魔だ。声をかけられる人には、ライト無しでも明るいですよ、と声をかける。夜道に慣れていない人は怖いからか、ライトをずっと付けたままだ。もったいない。4時頃山頂着。風のきつい中、東を眺め続ける。ご来光は無理そうだ。ただ、雲海の流れゆく美しさはたとえようがない。日の出時刻まで粘った後、6時前に正木ヶ原へ向かう。空の明るむ様や鳥の囀る様は眺めていて楽しい。山荘に戻ると荷物の整理をし、朝食を待つ。7時前アナウンスがかかる。さっさと食べると出発。大台教会で今日の旅が上々であることを祈り、左手の道を行く。昨日のうっそりした霧や雨の気配と打って変わって、新緑の木々の葉が目に鮮やかに飛び込んでくる。渓流の流れも日の光をチラチラと返し、楽しそうだ。ウキウキ足を運ぶ。逆峠10時頃着。人の気配が全く無く、時々、鳥の囀り、鹿の足音、木の葉擦れがする野生の只中を歩いていると、心がわくわくする。途中、五葉つつじの白い花が枝いっぱいに咲いているのを眺め、生きていて良かったとしみじみする。
ところで、河合と小処との分岐に到着した際、驚いた。林道がどーんと出来ている。小処へ下る道は林道でブチブチだった。がっかり。12時頃、小処温泉着。先に露天風呂を楽しむ。以前来た時の建物でなく、一昨年建て直して、この頃地方でよくある木造の建物に変わっていた。露天風呂のすぐ側が川なので、ひんやり気持ちいい。1時間ほど浸かった後、お昼にする。温泉経営者のお爺さんやお客さんといろんな話をする。話の流れで、大台ヶ原経由で上市まで車に乗っけてもらうことになる。70代と60代の男性2人連れだ。いい天気のドライブは最高で、いろいろと話が弾む。今考えると何でこんなに話題が合うのか不思議だ。上市に16時頃着。お礼を言って別れる。奈良から夜行バスで帰ることにし、特急を奮発し奈良へ。
アンテナショップでお土産買って、美味しい珈琲を飲んだら、夕暮れの長い散歩に出る。ただし、時間が遅いので、どこの神社も扉は閉まっている。春日大社まで来ると19時頃で、黄昏時の暗さだ。誰一人人はいない。鹿だけだ。二月堂はパスし、駅へ急ぐ。途中、猿沢池横の土産屋さんが時間も遅いのに何故か盛況だった。⁇近寄ると、小学生の修学旅行の団体さんだった。微笑ましいね。薬膳料理を食べて、馴染みのパン屋さんで明日の朝食を買ったら、丁度バスの時刻になる。
なかなかの2日間だった。満足。
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