『貴様らは幸運だ。その下品な頭に染み付いた汚らわしい三等国の習性は、人類のために浄化されねばならない。晴れて立派なベルチェスター国民となれば、大手を振ってこのゲートから外に出ることができるであろう!』
レムリア大陸の覇者となったベルチェスター連邦共和国は、トゥラン人たちをそう言って貶めた。
トゥランの子どもを強制的に収容する区域の通称は、箱庭《クープ》。
まるで奴隷の子どもを作る工場や農園のように、彼らは押し込められていった。
反抗する大人たちは、無惨に死刑にされる。
「信じるんだ。おれたちには、王がいる。必ず、救いに来る」
万能の王ハルヴァハル。
それに選ばれたのは、愛情深く勇敢な少女。その名前は、エル。
「お前は人間では無い」と徹底的にしらしめされ、この箱庭の中では誰も手を差し伸べてはいけないというルールの中、彼女は緑の目を輝かせ、鮮やかにこう告げる。
「自分にガッカリされることに比べたら、なんだってただの掠り傷だわ!」
そんな彼女の前に現れたのは、トゥランの素性を隠すロス。
はたして、小さな女王の黄金の武器は何を射抜くのだろうか。
その口から紡がれる未来と世界は。
強制収容所『箱庭』
人々から尊厳と自由が剥ぎ取られ、代わりに暴力と屈辱が与えられる。
権力者の気まぐれで、あっさり人命が奪われる閉じた世界。
だが、そんなどうしようもない世界の中でも、エルと呼ばれる少女の誇りは誰にも奪えなかった。
ときに仲間をかばうために、身を挺して支配者へ立ち向かう彼女は、えてして無謀そのものだが、人々は敬意を込めて、こう呼んだ。
クイーン。我らが王、と。
ある日、彼女に、差出人不明の不思議な力を持つ黄金の鍵がとどく。
そこから、反逆の運命の歯車が回り出す。
強制収容所というシビアな舞台で、カリスマ少女エルが持ち前の頭脳を駆使して、人々を助けるためにがんばる姿は、カッコよくて憧れちゃいます。
脇を固める男性キャラも魅力的。
本来はエルと敵対する立場の、銀髪イケメン青年将校なんかは、掛け合いがいちいち切れ者オシャレ感満載で、思わず自分でも言ってみたくなる台詞ばっかりです。
こんな方にオススメ。
:絶望的な状況でも、己を貫く強い女性主人公が見たい方
:軍服系男子の、洗煉されたイケメンムーブにキュンキュンしたい方
舞台は箱庭。
あるものは、抑圧と理不尽。ないものは自由と正義。
人の皮を被った獣たちが支配するそこは、一瞬の油断が死に直結する、いわば収容所です。
絶望の渦巻く箱庭──ですが、14歳の少女、主人公エルの誇りを奪うことはできません。
彼女は、どんな困難があってもひるみません。
身を挺して仲間を守る気高さ、絶対的な支配者を前にして一歩も引かない毅然とした眼差しは、読み手の心を熱くさせます。
差出人不明の黄金の鍵、正体不明のおじさま、ミステリアスで有能なハンサム副隊長……ファンタジー好きにはたまらない要素が、随所に散りばめられています。
果たしてエルはこの先、自由を手にすることができるのか──いえ、さらに大きな展開が控えているのではないか、ワクワクして目が離せなくなるに違いありません。
ぜひぜひ、この機会にご覧下さい。お薦めのダークファンタジーです♪