第23話シルヴィアの防衛何となく稼働
「お母様、私、しばらく王妃様のお手伝い休んでもよろしいでしょうか?」
「・・・・・正当な理由はあるの?」
「正当なと言われると困るのですが、数日でいいんです。一旦城から距離をおいて、気分を変えたいのです。」
「城で何かあったの?」
「何か・・・何かと言われれば何か起きてるような起きてないような・・・。
イーサン兄様が変としか。」
「殿下が変、ねぇ。」
公爵夫人は目を細める。
「昔から私と遊んでくださったり、構ってくれましたが、最近からかい方が変わった感じで・・。」
「例えば?」
「例えば、私が側にいるから婚約者はいなくてもいいとか、誤解する人たちがいても誤解にしないとか。これでは私が兄様の未来の王としての人生邪魔してるような気がしてきます。」
「婚約者はいなくてもいい、って結婚願望強いくせに何を言ってるのかしらあの殿下は。
誰が相手でも正規の流れに沿って婚約期間はあったほうがいいと思うけどねぇ。」
公爵夫人は呆れた表情で語る。
恐らく、婚約期間なんてまどろっこしい!とぶっ飛ばして、結婚式にいきたいのだろうけど。
そうは問屋がおろさない。相手は私の可愛いシルヴィアだから。
公爵夫人は心の中で独り言ちた。
「シルヴィアはあのエスコートの件はどう思ってるの?」
「最初は驚きました。でも、嬉しいと思ったのも事実です。浮かれて、イーサン兄様が優しいって。でも、大変なことだったのですよね。だって、周囲がみれば私達が婚約するのではと思いますもの。幼馴染で妹のように可愛がってくれてエスコートまでしてくれたという状況でしたのに。」
「嫌ではなかったのね。誤解を誤解にはしないと殿下が言ってる意味を深く考えてみた?」
「そんなのは結局、推測ですよお母様。森や山だって予測をたてながら進んでいても突発的に茂みから獣があらわれます。もしかすると歩けると思って茂みを踏んだらそこは地面がないなんてこともあります。」
「まさかのここでアウトドアやサバイバルを話に持ち出す気なの?まぁ、言いたい事はわかるけど・・・。」
「そもそも何の話も私は兄様から聞かされてませんもの。良い人がみつかればそのようなお戯れもなくなるのかなとも想像してはいます。
ああ、そういえば良い国にするお手伝いをしてほしいとは言われました。
一国民として協力するのは当然ですよね、お母様。」
「良い人というか、殿下にとっては探す必要もないのでしょうけどね、シルヴィア。
逆に貴方の気持ちはどうなんでしょうね?
いい機会だから自分の恋愛事を振り返ることね。
お母様は貴方の意思を尊重します。貴方が何を考え、何を見つけるのかを。貴方に自由な発想を持ってもらいたかった。だからこそ貴方のお祖母様に協力して頂いた。
それからね、シルヴィア。お母様貴方の話聞いて少し頭が痛い気分なんだけど。
良い国作りを手伝うの意味、貴方視点を変えたほうがいいわ。
ちょっとばかし貴方は自分自身のことに疎いわ。そこがお母様の貴方に対する難点よ。
王妃様には娘が少し体調崩したので数日休むと伝えておくわ。」
母に希望が伝わりホッとしたシルヴィアだが、急に接し方が変わり始めたイーサンに何故会いたくないと思ったのかは気付いてない。
なぜ戸惑うのか。
それがわからないシルヴィアが、現状回避して安らぎを求めようとした結果のお休み希望であるのが今回の希望の本質。
本質に気付かず、単に気分転換と思っているシルヴィアの、防御壁であった。
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