王太子妃は決定事項?承諾してない!何でこうなった?
@otoginayuta
第1話おーぷにんぐ
シルヴィアはリュックを背負って山にいた。
周囲を見回し、誰もいない事を確認後、小川の側で火を炊き、座り込み、小さな鍋でコトコトとスープを煮込む。
「ふー、お祖母様に野宿とか色々厳しく教わってたのが役立つとはねぇ。
あちらは今頃大騒ぎかなぁ・・・。ごめんなさい。」
「そう思うなら脱走しなければいいのに。」
「それはそうなんですけどねー・・・えっ?!」
シルヴィアは後方からの声に無意識に頷き、返事をしかけ、固まる。
あれ?嘘でしょう?何で?
怖くて後ろ、振り向けない。
げ、幻聴よ、幻聴。空耳。気のせい。
「言っておくけど、空耳じゃないからね?」
「ひっ!!」
声が耳元に近付く。
恐る恐る右横に顔を向けると、美男子が覗き込んてきた。
微笑んでるけど、滲み出てるオーラが黒い気がする。
「おおおおおお、おこっ、怒ってます?よ、ね?」
「あれ?ふたりきりなのに敬語は嫌だなぁ。まるで僕とシルヴィアに壁ができるみたいで。」
「い、ふた?ふたり?」
「うん。安心して。僕だけ。皆はこんなところにシルヴィアがいるとは思ってないでしょう。
僕は違うけどね。しかも山になら僕のほうが得意だよ?君は森でサバイバル術叩き込まれてるでしょう?」
「え?何それ?」
「シルヴィアを手に入れるために色々経験値積んで、頼れる男になりたかったからね。君が野宿やら何やら叩き込まれているのは当時知って驚いたけど。でも、例えば最悪な事がおきて、襲撃にあって、側近とも離れ離れになって、外へ身を潜める事態があったとしたらとか色々考えちゃってさ。兵・・騎士としての鍛錬に勿論基礎はあるけど、愛しい人を守りながら外で生き残るとか想像したら、ワクワクしちゃって。山でサバイバル術を鍛えちゃった。趣味お揃いになったのも運命かな?」
「いや、でも、何でここに?」
「あれ?話したことなかったっけ?
僕が野宿の技を鍛えたのはこの山。もし僕が君だったら育った森には逃げないでしょう?だって、王都にいないとなると、一番探されやすいじゃん。森の次のに目に付きやすいのはこの山。」
「ううううう。」
「言ってくれれば僕も一緒だったのに。そうすれば騒ぎにならないでしょう?」
「馬鹿ですか?王太子まで消えたらむしろ騒ぎが大きくなるわ!!」
「あ。敬語じゃなくなった。ま、数時間ここで息抜きしなよ。僕も息抜きしたいし。しばらくふたりきりだし。」
「いや、ある意味そのふたりきりが一番まずいかと?」
「一応僕、怒ってるからね?脱走のことじゃないよ?悩まないで何でも話してと言ってたでしょう?もし、酷いことを君に言われたとしても僕は受け止める。
それに逃がすわけないからね。
ふたりきりが一番まずい?
何言ってるの?いくら僕でもこんなとこであんなことやこんなことはしないよ?」
「な、何言って・・あんなことやこんなことって」
「やだなぁ、わざと遠回しで言ってるのに。具体的に言わせる気?
結婚式終えるまでそんなことはしませんよ。
未来の僕の奥様?」
その腹黒スマイルが怖いんですとはとても言えないシルヴィアであった。
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