「いじめられた記憶を持つ26歳が、女神に命じられて高校時代にタイムスリップし、同級生の未来を変えようとする」設定はシンプルで、タイムスリップ系ヒューマンドラマの王道を外さない。それがこの作品の一番の強みだ。
竹山がむっつりしていて口が悪く、みぞなが哲学トークを止まらずに繰り広げるこの凸凹の掛け合いが軽快で、読んでいて自然と笑みが出る。「ソフトクリームやプランクトンなんて知らねえよ」とソクラテスとプラトンを脳内変換してしまう竹山の内心が特に好きだ。女神レベッカの「漫画家に向いてなかったのね」という毒舌も、物語に絶妙なスパイスを加えている。
一方で「みぞなの悲惨な未来」という試練の重さが中盤から加わり、コメディだけに終わらない芯が見えてくる。家庭事情や暴力描写も含む展開は読者を選ぶが、完結済み20話・3万4千字とコンパクトにまとまっているので、一気に読み切れる。
肩の力を抜いて読み始められて、気づいたら竹山とみぞなを応援しているそういう作品だ。