第5話 白き精鋭部隊

「後鬼!」 前鬼の声が念で響く。

別の棟に入っているらしい。

彼の声には驚愕と恐怖が混じっている。

「信じられん光景だ!」

「どうしたの?」後鬼が念で尋ねる。

雷獣とイズナにも声が聞こえる。

「人間たちが全員死んでる。」

前鬼の言葉に、雷獣の全身に氷のような冷たい戦慄が走った。

周りの空間を素早く見渡す。

人間たちの死体以外何もない。

ガランとしている。

まるで放棄されたような空間だ。

まったくわからない。

でも危険であることは全身で感じ取れる。


「前鬼!すぐにこっちに来てくれ、別行動は危険だ!」雷獣が叫ぶ。

前鬼も同じことを感じているのだろう。

この場所には、何かが潜んでいる。

それは、最大の脅威なのかもしれない。


雷獣は広大な空間の片隅に目を留めた。

そこには小さな雪山ができている。

その雪山の中からわずかに何かが動くのを見た。

真っ白な色をした人のようなものだ。

いや、それは真っ白なロボットだった。


雷獣達は当然ロボットを見たことがなかった。

ロボットはボストン・ダイナミクスの人型ロボットに似ているが、より洗練されている。

しかし、雷獣達はそんなことは知らない。

この真っ白なロボットが突撃銃でこちらをしっかり狙っている。


まずい!

雷獣が気づいたときにはもう遅かった。

配置についていた30体の暗殺ロボット達が一斉に雷獣達に向けて射撃を始めた。弾丸が空気を切り裂き、火花が散る。

一瞬でそこは戦場となった。


「くそっ!」後鬼は念で前鬼に連絡した。

「敵よ!人間の作ったからくりだわ。すぐに合流して!」

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