第四章 怖い叔父様と一騎打ちですか?

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?」

「そ、そうなんですぅ~」


 応接室のソファに座っていたヘンリーはいぶかしむように首をかしげた。

 ていしゅくな貴婦人に『たい』したアルマは、それを見てほほ、と口元を手でかくす。

 だがその内心では、コンラートへのぞうごんを垂れ流していた。


(あんの『気弱閣下』ー! なんでもいいからとっとと出てきなさいよ! おかげで私一人で応対しないといけなくなったじゃないー!!)


 今朝になって、コンラートにまたも新しい『人格』が発現した。

 当人いわく――今度は『おびえ』の感情が人としての性格を持ったらしい。

 それはいいのだが。


「分かりました、分かりましたから! とにかく早く準備をしてください!」

「む、無理です!! だって今来てるのって、ヘンリー叔父おじさんですよね!?」

「そうですよ。何回もそう言ってるじゃないですか!」

「むむむ、無理です!! こ、断ってくださいいいい!」

「はあー!?」

『気弱閣下』はそう泣きわめくと、毛布をかぶって再びベッドにもぐってしまった。

 しつちょうらが手を貸してくれるも、力が強いのかびくともしない。


「いかがいたしましょうアルマ様。これ以上ヘンリー様をお待たせするのは……」

「……仕方ない。とりあえず私が出るわ」


 かくしてアルマは今いちばん会いたくない人物と、たった一人でたいする羽目になったのである。






【書誌情報】


≪「今日の閣下はどなたですか?」 試し読みはここまで!≫


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(春臣あかり イラスト/すらだまみ)


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