3-2
それから数日が経過したが、コンラートは
どんよりとした
(あれからずっと自分の部屋にこもりっきり……
どうやら相当仕事熱心な人格らしく、朝から晩まで食事の時間以外は机に向かっている。
(仕事と私、どっちが大事なのーなんて言うつもりはないけど、このままずっとこんな感じで家庭を
実際、これまで習慣となっていた庭の散歩がなくなり、そのうえ家庭教師との時間を半分以下にまで減らされてしまっていた。
聞けばあらかじめヘンリーから「婚約者に勉強はさせなくていい」と指示されていたらしく、以前のコンラートたちはアルマが望んだから、特別に手配してくれていたそうだ。
新しい人格になったことで、そのルールが元に
結果アルマは土いじり――もとい、
(本当は一刻も早く魔法を解きたいんだけど……)
だがクラウディアに出した手紙の返事はまだ来ていない。
(とりあえず今は、魔法のことがバレないようにしないと……)
額の
するとアルマの眼前を、大きな青い
(アグリアスって子に似ていたけど、
青い
幼虫・さなぎの期間が長く、逆に成虫になると一週間ほどで命を落とす。その生態もあって、
(もしかしたらとは思ってたけど、本当に会えるなんて……!)
アルマははやる気持ちを
「ここって……お墓?」
そこにメイドの一人が現れ、アルマに声をかける。
「アルマ様、そろそろ夕食のお時間でございます」
「ありがとう、今行くわ」
(……残念。まあでも、また会えるかしら)
「いつまで待たせるんですか。わたしは
「も、申し訳ありません」
「時間が
アルマが急いで向かいに
使用人たちもここ数日のコンラートの
(この前の『
食事中も、カチャ、とカトラリーを動かす音だけが
「あの、お仕事のほうはいかがですか?」
「いかが、とは?」
「毎日
「あなたには関係ないことです」
これ以上話を続ける気にもなれず、切り分けた肉をさっさと口に運んだ。
(今までなら、こんな言い方はしなかったのに……)
不器用なコンラートであれば、ゆっくりでもちゃんと説明してくれただろう。
『軟派閣下』なら「きみが心配してくれるなら、もう今日は休もうかな」と言って早々に切り上げる姿が想像できる。
(本当に別人だわ。とても同じコンラート様とは思えない……)
がっかりしたアルマは八つ当たりをするかのように、付け合わせの野菜にフォークを
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