15 監禁(優也&雅樹)

 もう何日目になるのだろうか。

 俺はパイプベッドに足を繋がれ、手錠をかけられ、オムツをされて、弟の雅樹まさきに監禁されていた。食べ物は三食与えられた。風呂には入れてもらえないが、身体は拭いてもらっていた。


「兄貴、具合はどう?」

「早く……抜いてっ……」

「これぐらいで苦しいようじゃ、本番はまだまだ先だね。まあ、無理やり突っ込んでも僕も痛いだけだし。大丈夫、しっかり慣らしたら解放してあげるね」


 ピリピリとオムツを外され、中に入っていた玩具も抜いてもらった。俺は失禁していた。尿の臭いがツンと鼻をさした。


「なあ雅樹……いつからこんなこと考えてたんだ……?」

「うーん、高校生の時ぐらいかな。授業中とかずっと妄想してた。一人暮らし許してもらえて本当に良かったよ。そのためだけに今の大学受けたもん」


 可愛い弟だと思っていた。いつも俺の後をついてきて、持ち物や服装を真似してきた。よく懐いてくれているだけだと考えていた。

 いつものように雅樹の家に遊びに行って、宅配ピザを一緒に食べて、目覚めたらこれだ。


「兄貴の都合はちゃんと考えたよ。冬休みで良かったね。大学が始まるまでには終わると思うから、安心して」


 終わるということは、犯されるということだ。それを思うと身震いがした。どうにかして逃れたかった。


「なあ、雅樹。兄弟でこんなことしちゃダメだよ。血が繋がってるんだぞ。今なら誰にも言わないでやるから。忘れるから。お願いだ、やめてくれよ」

「うるさい」


 俺は平手で頬を叩かれた。


「僕が何年待ったと思ってるの? 今さら引くわけないでしょ。さっ、しゃぶりなよ」


 顎を掴まれ、強引にねじこまれた。


「あがっ……」

「はぁ、上手くならないなぁ。もっとヨダレ出して。喉の奥突かれたくなかったらちゃんと口すぼめるんだよ」


 俺だって必死にやっている。けれど、肉親にされているという事実が嫌悪感を催すのだ。


「下手くそ。もういい」


 雅樹は自分でしごき、俺の顔にかけた。手錠をされているので自分でぬぐうこともできない。


「しばらくそのままでいなよ。こうされたくなかったら、早く上達してよね」


 ポタリ、ポタリと、シーツに白い液体が落ちた。俺は嗚咽を漏らした。


「泣かないでよ、見苦しい……」


 俺はどこで間違えたんだろう。脳裏に浮かぶのは、雅樹と一緒に遊んだ幼き日々の思い出だった。あの頃に戻ってやり直したかった。

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