転生女子と、闇夜に現れる美少年。
互いに惹かれ合いながらも、二人ともやっかいな事情を抱えていて、運命の糸が一つにまとまりそうがない!
今や当たり前のように扱われている、転生という事象。
その仕組み、転生が成立するメカニズムに深く踏み込み、それが物語の鍵になっていくのが、本作の凄いところ。
でもそれは、あくまで舞台装置。
二人と、多彩で魅力的な登場人物との、駆け引きや戦い、笑いと涙と喜びが、本作の真骨頂です。
冒頭の緊迫感にピンと来たら、どうかためらわずに、読み進めてください。
わたしは、最後まで読んで、良かったなと思いました。面白かったです!
命の定義を考えさせられる物語でした。
肉体があり、生命反応がある。
じゃあ魂って何?
人間が抱えるこの心、そして想いは、いったいどこに宿るのか。
人々の紡いだ歴史は。記憶は。データとして地球にアーカイブされているのでしょうか。
――――――
異世界に放り出された主人公リョーコは、医師。
ベーカリーで保護され、友人や生活基盤を手に入れるものの周囲には〈悪魔〉と名乗る怪しい影が……。
異世界転生者を狩る男、不死を求める者、そして不死を憎む者。リョーコは様々な思惑に翻弄されていきます。
闘いの中でリョーコが医療知識を駆使する姿は迫力満点です。そこは作者も医師だという強みを存分に発揮していて、うならされました。
また作中における〈不死〉〈記憶〉〈遺伝子の改変〉などの取り扱いも、リアルと虚構が絶妙にブレンドされている……のではないかと思います。
どこまでが現代科学の範囲なのか、私は素人につき完全に煙に巻かれております……。
設定や知識の妙だけでなく物語を支えているのは、チャーミングな登場人物たちです。
飄々としているくせにホロリと泣き虫なところもあるリョーコは言うまでもありませんが、頑なで青くさいのにカッコいいフリッツくんも良きですね。
しばしば香る百合の花や、忠義だか愛だかわからない曖昧な関係性などもまた趣深かったです。
そして何より、キャラクターたちが自分で考えて動いていると思えるのが素晴らしい。
また彼らが前向きに生きていることに救いを感じました。特に物語の終盤は戦いが続いて絶望的な状況だったのに……!
傷つけ合う運命にある相手を愛したら――しゃらくさい、運命の方を治療してやろうじゃないの!
そうして立ち向かっていく男前で可愛いリョーコの初恋を、皆さんも応援してみませんか?
異世界転生ジャンルが盛り上がる昨今、こんなに重厚で練り込まれた世界観の、それでいてサラリと読めてしまう明るさを持つ異世界ファンタジーが読めるとは驚きです。
主人公のリョーコは、少し見栄っ張りでお姉さんぶりたがる、そして繊細さを併せ持つ元医者の異世界転生者。
ベーカリー「トランジット」の店主レイラさんに保護してもらい、店を手伝いながら異世界で楽しく暮らすリョーコ。しかし彼女の周囲では徐々に不穏な事件が起きて、リョーコは世界を揺るがす事実に導かれていく……。
謎の美青年フリッツ、親友で天才魔導士のヒルダなど、登場人物も個性的で魅力たっぷり。ぜひぜひ、運命の激動を感じさせるプロローグからこの世界に浸ってみてください。