前夜祭〜夜明かし会〜

前夜祭ももう終わりに近づいてきた。『異能』ローズのパフォーマンス、美味しいディナーを終えた私たちが次に向かった先は、『海月宮』くらげみやのお屋敷の最上階にある、屋根がガラス張りの素敵なお庭、天空公園。ここで私たちは今日夜明かしをする。


すいれん結陽ゆうひ!すっごく綺麗な星空だね!あれって天の川かな?こんなに綺麗に見れるんだね!すごい!」


莉蘭りらが楽しそうでよかった。すみれさんはお淑やかにって言ってたけど俺は素直に感情表現してる今みたいな莉蘭が好きだよ。」


蓮が言ってるすみれは今はいない。だってこの夜更かし会は私たち『赤星花』カランコエだけで行われる会だからだ。すみれたち『天使花』エンゼルランプは別の場所で情報交換のための集会をしているらしい。どんな話をしてるのか気になるなー。後で聞こ!


「蓮、そう言われると勘違いしちゃうからやめてよね。ほんともし私が本気にしたらどうするの?」


「俺は本気にしてほしいけど?本気で口説いてるからね。」


そう言って笑った蓮は、すごくかっこよかった。


「ちなみに莉蘭、俺も本気だよ?」


「俺もだよ。莉蘭」


翠も結陽も続けて言った。でも、今日初めて仮面なしで会って、話したのにどうして私のことを好きだって言ってくれるんだろう。やっぱりみんなそれぞれの宮の教育で「唯一の女の『赤星花』カランコエの莉蘭を口説け!」って言われてるのかなー。だとしたらこんなに口説かれるのも納得はできる。


「みんな、なんかごめんね。好きな人居るなら無理に口説かなくていいよ。申し訳ないし。」


「「「は?何言ってんの?」」」


あれ、怒らせた、、、?


「莉蘭、お前勘違いしてね?」


「翠の言うとおりだね。莉蘭、俺らが周りの人間に言われて無理に口説いてると思ってるんでしょ?」


「え?なんで翠も結陽もわかったの?」


「分かるも何もわかり易すぎるだろ。ちなみに俺らは莉蘭のことが仮面つけてるときにあってからずっと初恋だから。周りに言われたんじゃなくて本気ね。」


「蓮、、、」


私は今まで全然『赤星花』をちゃんと見ようとしてなかったのかもしれない。女の子がいると思ってたのも、同い年だから仲良くなれるかもと思ったのもそのせいだろう。みんなはちゃんと将来のことを考えてる。ただの友だちじゃなくて、恋愛対象として見てる。私だけだ、こんなにも自分勝手で何も考えていなかったのは。


「みんな、本当にごめんなさい。私みんなみたいにちゃんと未来のこと、考えてなかった。向き合おうとしてなかった。ごめん。」


「いいよ、そんなの。急に告った俺らも悪いし。もうこれでチャラにして明日からの本祭も後夜祭も全部楽しもうぜ!な、蓮、翠!」


「当たり前だろ、結陽!祭りは楽しむためにあるんだからな!」


「さすが『海月宮』の最高権力者、蓮だな。夏のおとこの発言だ笑」


「おい笑うな、翠!ちょっと莉蘭も結陽も笑ってんじゃん。」


「ありがと、みんな!元気出た!」


「じゃあ、ってやつ、やっちゃいますか!」


え、ってなんだろう。映画鑑賞とかお菓子バーティーとかかな?


「結陽、まさかやるつもり?」


翠には伝わってるみたいだけどってなに?!


「そうだよ、翠。莉蘭も蓮もやるっしょ?」


「あー、か。でも碧海あおみがなんか張り切っての準備してたぞ」


え、蓮にも分かるの?まってってなに?もうー!わからん!


「え?!まじで?!とか最高じゃん!」


「結陽そういうの好きそうだもんね。蓮、碧海さんにありがとうって伝えておいて。」


「了解」


「ねー!さっきから話してるとかってどれ?わかんないから説明してよー!!」


「あ、ごめんごめん。はお菓子バーティーのことではチョコレートファウンテンのことだよ。」


あ、お菓子パーティーは正解か、、、ってチョコレートファウンテン?!あのチョコレートの滝みたいな夢のようなやつ?!碧海様って神?!


「え!やった!!早くやろ!」


それから夜が明けるまでみんなでチョコレートファウンテンを楽しんだ。途中ですみれ、こう様、伊織いおり様、陽翔はると様も合流し、賑やかな夜を過ごし、前夜祭は幕を閉じた。








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