この作品は史実をもとにしたもので、電話交換手という職業への誇りから始まり、やがて戦争の理不尽へ呑み込まれていく構成が非常に胸に迫ります。
とくに、電話の仕組みや樺太の暮らしを丁寧に描くことで、彼女たちが特別な英雄ではなく、仕事に誇りを持つ普通の若い女性だったことが伝わります。だからこそ、終戦後も続いたソ連軍の侵攻、真岡郵便電信局での最期が重く響きます。
そして、最後の「さようなら」は、史実の悲劇を単なる出来事ではなく、一人ひとりの人生として突きつける感じがしました。小説全体が静かな語り口だからこそ、戦争が奪ったものの大きさが深く残る小説です。